たつみの自習室

2013年4月22日 月曜日

医療機関の労務 安全衛生管理体制

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働安全衛生法という法律があります。この法律では、事業場の規模と業種によって、一定の安全衛生管理体制を整備するように求めています。ここでは中小規模の病院・診療所を想定して、その範囲のお話をしていきます。

でも、まず、その前に、この法律の名前にある「安全」とか「衛生」とかいう言葉の意味を確認しておきたいと思います。

「安全」ということばは、けがをしないという意味です。また、「衛生」ということばは、病気をしないという意味です。ですから、安全の方は建設とか製造とか運輸とかいった業種が対象になり、衛生の方は全部の業種で管理するよう求められます。病院の場合は「衛生~」です。

① 衛生推進者

常時10人以上50人未満の職員を使用する病院・診療所では、衛生推進者を選ばなければなりません。衛生推進者を選んだことについて、労働基準監督署長に届け出る必要はありませんが、職員に周知する必要があります。衛生推進者は衛生に関する以下の業務を担当します。
(1)職員の健康障害を防止するための措置
(2)職員の衛生教育の実施
(3)健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置
(4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
(5)その他労働災害を防止するために必要な業務

② 衛生管理者

常時50人以上の職員が勤務する病院・診療所では、第1種衛生管理者もしくは衛生工学衛生管理者免許を持っている者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等のうちから衛生管理者を選ばなければなりません。衛生管理者を選んだら労働基準監督署長に届け出ること、および職員に周知する必要があります。

選任する衛生管理者の数は、常時勤務する職員数が50人以上200人以下なら1人以上、201人以上500人以下なら2人以上となっています。

衛生管理者が行う業務は以下のようなことです。
(1)健康に異常のある者の発見及び措置
(2)作業環境の衛生上の調査
(3)作業条件、施設等の衛生上の改善
(4)労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
(5)衛生教育、健康相談等職員の健康保持に必要な事項
(6)職員の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤及び異動に関する統計の作成
(7)衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
(8)少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害の恐れがあるときに、直ちに、職員の健康障害を防止するため必要な措置を講じる

③ 産業医

常時50人以上の職員が勤務する病院・診療所では、産業医を選任しなければなりません。選任したら労働基準監督署長に届け出ること、および職員に周知する必要があります。産業医は以下に関することを行います。
(1)健康診断の実施及びその結果に基づく職員の健康を保持するための措置
(2)作業環境の維持管理
(3)作業管理
(4)職員の健康管理
(5)健康教育、健康相談その他職員の健康の保持増進を図るための措置
(6)衛生教育
(7)職員の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置

産業医は院長等の経営者に対して勧告し、衛生管理者に指導・助言することができます。また、少なくとも毎月1回、病院・診療所を巡視し、作業方法または衛生状態に有害の恐れがあるときは、直ちに職員の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

この他にも以下のような衛生管理体制を整備しなければなりません。

④ 衛生委員会の設置
⑤ 衛生教育の実施
⑥ 健康診断の実施
⑦ 労働災害の報告

医療機関の衛生に関しては、過重労働やメンタルヘルス不調の問題も取りざたされる一方、感染症や院内感染、エックス線業務従事者への対応といった特有の事情もあり、他の業種以上に衛生管理体制を整えておかなければならない業種であることは確かです。


投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智

たつみ社会保険労務士事務所03-6317-8365