たつみの自習室

2013年5月15日 水曜日

医療機関の労務 患者とセクハラ・パワハラ

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

セクハラやパワハラは、上司と部下、同僚間といった事業所内だけに限らず、取引先の事務所や外部の者との打ち合わせをする飲食店、顧客の自宅など事業所の外でも、また社外の者との間でも起こり得ます。

特に医療機関では、医師、看護師、介護付添い人、給食・清掃業者、医療事務職員など様々な医療関係者がいるほか、多くの患者と密接にかかわりあう環境にありますので、患者との関係でもセクハラやパワハラが発生しています。

① 医師等による患者へのセクハラ・パワハラ(ドクハラ)

医師・看護師を含む医療関係者が患者に暴言を吐く、暴力をふるう、性的嫌がらせをする、患者を傷つける態度をとるといった行為がこれに当たります。悪意がなかったとしても、患者が不快に感じれば、それはドクハラと非難される可能性があります。

ドクハラが疑われる言動の例

「どうせ助からないんだから無駄なことはしない」
手術後の若い女性に「こんな体じゃお嫁にいけないね」
「遊んでいるからこんな病気になるんだよ」
「この子をこんな病気にしたのはお母さんのせいだからね」

次のような裁判例があります。

* 東京レントゲン技師事件(平成7年東京)

総合的な福祉サービスを提供している病院で、脳性小児麻痺により手足に麻痺がある女性患者Xさんをレントゲン台に寝かせ、レントゲン技師Yが下着の中に手を入れて性器や胸に触るなどの行為を繰り返しました。

判決によれば、患者Xさんは技師Yによる不法行為により、性的自由を侵害されたものであり、これによる患者Xさんの屈辱感及び恐怖感は極めて大きいものと言えます。

患者Xさんは、その障害の故に、将来にわたって医療機関に対して信頼を寄せ、援助を受けていかなければならないのに、その医療機関内においてこのような不法行為を受け、信頼を裏切られました。

これによる患者Xさんの精神的苦痛は重大だとして、患者Xさんらの300万円の慰謝料請求を認めました。

② 患者の看護師等に対するセクハラ

患者が女性看護師にセクハラする場合も多々あります。その女性看護師の個人の問題として片づけるのではなく、病院全体で取り組むべき問題として担当者を置いているところもあります。

初期対応としては、トラブルが起こったら他の職員が助けに入ったり応援を求めたりします。職員が複数で協力してその患者に対応することが必要です。別室に案内し、丁寧に話を受け止めることで相手を落ち着かせます。一人が話を聞く間に別の職員がメモや録音などの記録をとるといった証拠を残す作業も重要です。ただし、それは「あなたのお話をしっかり伺います」という態度でなければなりません。取調べられていると思われては逆上してしまうこともありえます。

業務に支障をきたすほど悪質な場合には強制退院させることを院内に掲示している病院もあります。


投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智

たつみ社会保険労務士事務所03-6317-8365