たつみの自習室

2013年3月30日 土曜日

医療機関の労務 法定労働時間と所定労働時間

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働時間には「法定」労働時間と「所定」労働時間とがあります。病院・診療所を経営する場合には、この違いをはっきりと認識しておくことが重要です。

それは、時間外・休日に労働させるための労使協定の締結と届け出、あるいは割増賃金の支払い義務は、法定労働時間を超えて働かせる場合に発生するものであって、所定労働時間を超えて労働させるだけで発生するものではないからです。

例えば、朝9時から夕方5時までが仕事時間で、お昼休みが12時から1時までの1時間ということになっている事務所の場合、所定労働時間は7時間です。残業して6時まで働いたとしたら、所定労働時間より長く働いた1時間分は残業代発生ということになります。さて、この1時間分の賃金は通常の賃金と同じ額でしょうか、1.25倍の額でしょうか。答えは通常の賃金と同じ額です。割り増しは必要ありません。法定労働時間内だからです。

法定労働時間は労働基準法に定められている、労働時間の最長限界で、週40時間、1日8時間を超えて働かせてはいけませんよ、という原則です。

一方、所定労働時間は病院・診療所ごとに労働契約や就業規則で定める労働時間のことで、法定労働時間である週40時間、1日8時間を超えて定めることはできません。

「原則」などと含みのある言い方をしているのは、ある手続きを踏めば、週40時間を超え、または1日8時間を超えて働かせることが違法でなくなるからです。それが「変形労働時間制」です。

病院・診療所の場合、病棟看護は1日24時間を2交替あるいは3交替勤務でカバーしており、2交替制ではもちろん、3交替制でも交替時の引き継ぎ時間を考慮すると1日8時間労働では収まりきれなくなっています。

このため多くの病院が変形労働時間制を採用しています。

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2013年3月29日 金曜日

医療機関の労務 法定労働時間

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働基準法で定められている労働時間(法定労働時間)は週40時間、1日8時間とされています。

ただし、医療機関であって職員数が常時10人未満の小規模な診療所などの場合には「特例措置対象事業場」という特別な扱いを受けることになり、法定労働時間は週44時間、1日8時間になります。

ここでいう1週間は、就業規則で特に何曜日から何曜日までと定めていないときは、日曜日から土曜日までの歴週をさします。また、1日とは夜の0時から24時間後の夜の0時までの暦日をさします。なお、夜間勤務などで前日の勤務が翌日にまで及ぶ場合には、1勤務として扱われ、前日の労働時間としてカウントされます。

法定労働時間を超えて労働させることは原則としてできません。法定労働時間を超えて労働させるには、その旨を就業規則に規定するとともに、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。

この例からも分かるように、労働基準法は、困ったことに「原則」が現実的ではありません。法律に違反しないように、現実的に仕事を進めるためには、それなりの「手続き」を踏む必要があるのです。就業規則に載せて、労使協定を結んで、それを役所に届けないと、法定時間外に残業させたら違法行為になるのです。違法行為が悪質だと判断されると書類送検されます。労働基準監督署は労働法において警察権を持っているのです。

法を知らないと恐ろしいことになりかねません。法律上、医師でなければできないことや医師でもやってはいけない行為があります。医療として認められていない行為を行うと、人の命を危うくすることにつながりかねないため、とても厳しい罰則が設けられています。労働法も同じです。目に余る長時間労働や休日労働は過労死の一因とされ、労災として認定される例が増えています。それが違法な労働条件、杜撰な労務管理からきているとなったら、法的に罰せられるのみならず、社会的にも厳しい目で見られることは間違いありません。

だからといって院長が労働法に詳しくなる必要はありませんが、少なくとも、経営者として注意すべきことは知っておかなければならないと思います。あとは、実務的なことを正しくやれる人的な手当てを行うことが必要だと思います。

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2013年3月27日 水曜日

医療機関の労務 法定3帳簿

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働基準法では、職員を雇用した場合には、労働者名簿と賃金台帳を整備しなければならないと定めています。また、実務上、出勤簿(タイムカード)も併せて整備しなければなりません。

この3つの帳簿は労働関係の「法定3帳簿」と言われており、正しい労務管理が行われているかどうかを見る基本的な書類とされています。従って、助成金などを申請する場合にはこれらが整っていることが大前提となりますし、労働基準監督官による立ち入り調査(労働基準法等の違反があるかどうかを調査するもの。臨検とも呼ばれます)の際には提出を求められます。

なお、労働者名簿や賃金台帳など労働関係に関する重要書類は3年間(雇用保険の被保険者に関する書類については4年間)保存することが義務付けられています。

労働者名簿、賃金台帳に記載すべき具体的な内容は次の通りです。

<労働者名簿>
① 氏名
② 生年月日
③ 履歴
④ 性別
⑤ 住所
⑥ 従事する業務の種類(常時30人未満の事業では不要)
⑦ 雇い入れの年月日
⑧ 退職の年月日及びその事由(解雇の場合を含む)
⑨ 死亡の年月日及びその原因

<賃金台帳>
① 氏名
② 性別
③ 賃金計算期間
④ 労働日数
⑤ 労働時間数(管理・監督者及び監視・断続的労働従事者は不要)
⑥ 法定時間外労働時間数(所定時間外労働時間数でも可)
⑦ 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
⑧ 賃金の一部を控除した場合にはその額

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2013年3月26日 火曜日

医療機関の労務 就業規則提出までの流れ

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

就業規則は作成して労働基準監督署に提出する義務があるというお話をしましたが、もう少し具体的にその流れを見てみましょう。

まず、院長や事務長が本やネットを参考にして自力で就業規則を作成します。あるいは、社会保険労務士等に依頼してヒアリングをしてもらいながら、独自性のある就業規則を作成してもらいます。

完成したら、職員に閲覧してもらいます。

職員の過半数を代表する人を決めます。職員に集まってもらい、代表者を決める目的を説明し、投票、挙手などの方法で決めればよいでしょう。また、誰が出席して、どうやって決めたかという議事録的なものを作っておくとよいでしょう。病院側が一方的に代表者を指名したり、労働者ではない院長夫人が代表者になったりすることは、選任方法が民主的でないため、代表者としては認められません。

「意見書」を作成します。これは、過半数代表者に選ばれた職員に就業規則についての意見を書いてもらうものです。もし意見がなければ「特になし」「意見なし」と書いてもらいます。反対意見があれば、その意見を書いてもらいます。労働基準監督署で重視されるのは、職員に意見を聞いたというプロセスであるため、反対する意見書を提出しても受理はされます。仮に、職員が一斉に反対し、意見書に意見を書くことも拒否した場合であっても、意見を聞いたことが客観的に証明できれば、労働基準監督署は受理してくれます(そのような内容の就業規則でやっていけるのかどうかはここでは別の問題とします)。この場合、事の経緯を記録した議事録などを用意しておくとよいでしょう。

就業規則届を作成します。これは提出物の鏡のようなもので、簡単な書式があります。病院名、所在地、院長名などを記入し押印します。

提出物はコピーを1部とります。つまり原本1セット、コピー1セットを用意します。

所轄の労働基準監督署に原本、コピー各1セットを提出します。そのうちコピー1セットは受付印を押してもらい、持ち帰ります。

これは院内の分かりやすいところに据え付けてください。LANでつながったPCに共有フォルダーを作って入れておいてもいいです。要は、職員がいつでも自由に目を通せるようにしておかないと周知したことになりません。周知していないと、就業規則違反があって懲戒処分を行っても無効とされます。

とりあえず、これでひと段落です。

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2013年3月25日 月曜日

医療機関の労務 就業規則の提出義務

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

 労働基準法第89条によると、職員数が10名以上いる事業所においては、就業規則を作成し、管轄の労働基準監督署に提出することが義務付けられています。

ここでいう職員数10名以上とは常時使用する職員数をいいますが、常時とは正職員のみの人数だけではなくパートタイマーやアルバイトなどの従業員も含めることになっていますので、多くの医療機関では就業規則を定めて労働基準監督署に提出しなければならないことになります。

ただし、診療所にMS(メディカル・サービス)法人が入っている場合は、別々の組織として考えますので、例えば、診療所の正職員4名、パート職員5名、MS法人職員4名で運営している診療所では、就業規則の作成・提出の義務はありません。また、派遣社員が入っている場合も同じ考え方です。派遣社員は派遣元の会社に雇用された別組織の人ですので、診療所の職員数にはカウントしません。

ところで、市民病院など公的病院の職員は公務員ですが、こういったところも就業規則の作成・提出義務はあるのでしょうか。答えはイエスです。地方公共団体の行う事業のうち「病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業」(労働基準法別表1⑬)の労務管理については地方公務員法の適用を受けることがなく、労働基準法が適用されることになります。従って、就業規則を定め労働基準監督署に提出しなければなりません。

なお、就業規則を労働基準監督署に提出すべき事業所が提出をしていなければ(作成はしていても)89条違反になりますので、同法120条により30万円以下の罰金の適用を受けることがあります。

しかし、そういう法律があるならやむを得ないから作成して提出しようかという診療所があったとしたら、残念ながらその診療所はすでに世の中の流れに遅れていると言ってよいでしょう。法律を守るというのは最低ラインをクリアするというだけの話です。そんなギリギリのラインでやっと重い腰を上げるようでは、労務トラブルが発生したときの財務リスク、訴訟リスクに対応できるはずがありません。

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2013年3月24日 日曜日

医療機関の労務 労働時間の明示

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

人を雇う場合、入ってくる人に対して労働条件をお知らせしなければなりませんが、その中には必ず明らかにしておかなければならない項目がいくつかあります。特に「労働時間」については具体的に書いておく必要があります。

何時から何時まで、一日何時間働くのか、シフト制の場合はどうするのか等は個人の生活に直結する事柄であるため、職員の関心が高く、きっちり守る姿勢が必要です。違う言い方をすれば、ここのところをうやむやにしたまま業務に入ってもらうと、後でトラブルになりやすい項目だと言えます。

一般的に病院・診療所の看護部門は、2交代制・3交代制によるシフト勤務を採用しています。このような場合には、例えば、日勤の場合の始業・終業時刻と休憩時間、夜勤の場合の勤務割や始業・終業時刻、休憩時間、交代の時刻や交代の順序などについて具体的に明示します。以下はその例です。

<日勤>
始業午前9時、終業午後5時(休憩時間は正午から1時間)

<夜勤>
始業午後4時30分、終業翌日午前9時30分(休憩時間4時間、実働13時間)
ただし、夜勤の休憩時間は、1人は午後10時から午前2時、他の1人は午前2時から午前6時とする。勤務割は、別に勤務表で定める。

なお、夜間勤務と宿直勤務は別なので注意が必要です。

宿直勤務というのは通常の医療業務とは区別されていて、病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈など短時間で軽い業務しかなく、ほとんど労働する必要のない勤務のことです。ですから、法定労働時間を超えて働かせることができるとか、割増賃金を支払う必要がないとかいうことになっています。

そこで、病院経営者が都合のいい解釈でもって救急医療体制に宿直を充てるようなことが行われたことがあり、問題になりました。平成14年には厚生労働省から「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」という通達も出されており、監督指導が強化されています。

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2013年3月23日 土曜日

医療機関の労務 パート、アルバイトの契約

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

だいぶ前の話ですが、平成15年に厚生労働省から「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」という告示が出されています。パートタイムやアルバイトなどで、期間を決めて看護師や事務員を雇う場合が多いと思いますので、どういうものか知っておいていただきたいと思います。

A. 労働契約を結んだとき=採用が決まったらやること

① 院長はその契約を更新することがあるかないかを明らかにしなければなりません
② 更新することがあるという場合、更新するかしないかの判断基準を明らかにしなければなりません
③ 契約を結んだ後になって上記①、②を変更する場合、すぐに知らせて説明しなければなりません

B. 雇い止めの予告=契約期間満了で辞めてもらう人に対してやること

① 労働契約の更新をすでに3回以上している人、または、1年を超えて継続して雇用されている人で、今度の更新機会には更新しないという場合、契約満了日の30日前までに、そのことを予告しなければなりません
② あらかじめ、ずっと前から、次は更新なしと伝えている場合は、あらためて30日前までに予告する必要はありません

C. 雇い止めの理由の証明書

① 院長は、雇い止めを予告した後にその理由についてその人から証明書を請求された場合、証明書を発行しなければなりません
② 雇い止めをした後に請求された場合も同様です

D. 契約期間についての配慮

院長は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している人との契約を更新しようとする場合、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。もちろん本人の希望や病院の都合を考慮してという話ですが。

以上のように、パートやアルバイトの契約で採用するときには、辞めてもらうときのことを考えて手を打っておくということと、比較的長く安定して働いていた人に辞めてもらうような場合は、しっかり期間をとって用意周到に事を進めていくことが重要です。本人ともよくコミュニケーションをとって、トラブルなく円満に期間満了を迎えられるよう気を遣うことが大切です。

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2013年3月22日 金曜日

医療機関の労務 採用時に明示する労働条件

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働基準法では「使用者が、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。

病院・診療所の場合には、勤務時間が職種によって異なったり、賃金も基本給以外に救急センター業務手当、手術室業務手当など特殊な手当もあったりして、労働条件が複雑なケースも見受けられます。それだけに、採用時にきちんと労働条件を示しておくことが後のトラブルの予防になります。

明示すべき労働条件の具体的な内容は、全部で14項目あります。このうち、最も基本的な労働条件である以下の①~⑥の項目については、書面にして明示しなければならないことになっています。厚生労働省で作成した「労働条件通知書」などを参考にして自院バージョンを用意しておくとよいと思います。

① 労働契約の期間
② 就業の場所、業務の内容
③ 始終業の時刻、残業の有無、休憩時間・休日・休暇、シフト制
④ 賃金の計算、支払い日など
⑤ 定年制、継続雇用制、解雇など
⑥ 昇給

そして、以下の⑦~⑭の項目については、これらのルールがあれば明示しなければならないとされています。

⑦ 退職金
⑧ 賞与など
⑨ 労働者が負担する食費、作業用品など
⑩ 安全衛生
⑪ 職業訓練
⑫ 災害補償など
⑬ 表彰、制裁
⑭ 休職

ところで、これら明示された労働条件が実際と異なることがあります。こうした場合には、労働者側からは即時・無条件で労働契約を解約できます。そして、その人が就職するために引っ越してきた人で、14日以内に元いたところに戻る場合などには、そのために必要な旅費、運送費などを病院側が負担しなければならないことになっています。

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2013年3月21日 木曜日

医療機関の労務 試用期間

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

職員を採用した後に「試用期間」を設けている病院はたくさんあります。

一般に試用期間は、採用決定時に十分把握できない新規採用職員の能力や適性を観察し、その評価によって本採用とするかどうかを決定する目的で設けられます。

このため試用期間の法的は性質としては、採用内定と同様に、条件付きの労働契約と考えてよいでしょう。つまり、採用された側の事情によって本採用としないとすることは比較的認められますが、病院側の事情で本採用しないとすることは困難と考えた方がよいと思います。

採用された側の事情というのは、例えばこんなことです。

① 採用選考、あるいは採用時に提出した書類や本人が述べていた内容と事実がかけ離れていた場合
② 業務の遂行に支障をきたす恐れのある既往症を隠していたことが発覚した場合
③ 正当な理由なく、無断で欠勤した場合
④ 就業規則に定めている「解雇」の事由に該当した場合

試用期間に関して定めた法律はなく、その長さについてもこれといった制限はありません。一般的には1か月から3か月程度が妥当と言われますが、長くても1年ではないでしょうか。極端な例ですが、あまり長期にわたる試用期間(通算2年3か月)は公序良俗に反するため無効である、とされた裁判の例があります。

なお、試用期間の途中で本採用しないことに決める場合、試用開始から14日を超えていたら、30日前に解雇を予告するか、その日数分の平均賃金の支払いをする義務が生じます。逆に言えば、14日を経過していない場合は解雇予告手当を支給することなく即日解雇できることになります。もちろん、解雇事由や解雇に至るプロセスはきちんとしていないと後々トラブルになってしまう危険があるので注意が必要です。

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2013年3月19日 火曜日

医療機関の労務 内定取り消し

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働契約が成立したかどうかはっきりしないケースの一つに採用内定があります。

採用には中途採用もあれば新卒採用もあります。

中途採用の場合には、即戦力としての採用が多く、採用後すぐに他の職員と同じように働くことが多いため労働契約の成立について疑問を持つことは少ないでしょう。

しかし、事務職などで新卒者を採用する場合、一般的に採用内定という段階を踏むことになります。すなわち、10月1日に採用を内定しても、その時点ではまだ学生であって働くことはできませんから、正式な採用は翌年学校を卒業した後の4月1日からということになります。

採用内定については学説的にも様々な考え方がありますが、判例では、①会社が内定を通知し、②労働者が誓約書を提出することによって、③労働契約が成立するとしています。

ただし③には制約があります。それは、正式採用の4月1日までに採用の条件である資格を取得できなかったり、単位不足などで学校を卒業できなかったり、あるいは病気やけがによって正常な勤務ができなくなった場合には、採用を取りやめることができるというものです。

なお、労働契約はすでに成立していますので、採用する側の事情によって内定を取り消す場合には、1日も働いていなくとも、法律上は「解雇」として取り扱われることとなり、相当な理由が必要となります。

相当な理由というのは、例えば、その人を採用してしまうと病院がつぶれてしまうような切迫した状態だったら当てはまるかもしれません。が、それを証明する経営データを揃えて客観的に説明できなければなりませんから、漠然とした危機感だけで取り消しというわけにはいきません。

また、新規学卒者の採用内定を取り消し、あるいは撤回する場合などには、公共職業安定所長等に通知することが義務付けられています。

庶民的な感覚で言ってしまうと、内定取り消しはできないと思っていた方がいいと思います。内定イコール採用、内定取り消しイコール解雇です。解雇はちょっとやそっとではできません。解雇に踏み切る努力をするより、それを避ける方策を考えた方がよほど建設的で現実的です。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

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