たつみの自習室

2013年4月29日 月曜日

医療機関の労務 パートタイム労働法が求めるもの②

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

一口にパートといっても、忙しい時期だけ臨時に手伝いにくる人、裏方の作業でほぼ毎日1~2時間働く人、あるいは、勤務時間が短いだけで正規の職員とほとんど変わらない仕事をしている人など、その働き方は様々です。

一律に、パートだから正規の職員よりも低い待遇なのは当たり前だ、というのではなく、任される職務の権限や責任に応じて、労働条件や待遇面で正規の職員とバランスをとることが大切です。パート一人一人の仕事をきちんと把握し、評価していることを示すことで、パート自身が納得して働けますし、高いモチベーションを維持させることが可能になります。

パートタイム労働法は、パートの働き方の違いを次の3つの要素に分け、それが正規職員とほとんど同じなのか部分的に同じなのか、それはどの部分なのかといった観点で分類しています。

① 仕事の内容とその責任
② 人事異動の有無とその範囲
③ 契約期間

そして、この分類に応じて、

① 賃金
② 教育訓練
③ 福利厚生

という待遇面でバランスをとるように、経営者に対して義務または努力義務が課されています。つまり、これによって、どういうパートだったらどういうポイントで正規の職員と同じ待遇でなければならないかということがはっきりします。ここを間違えると、差別的な取り扱いを受けたといって労働基準監督署に相談に行かれてしまう可能性が出てきます。

ところで、パートも含め常時10人以上の職員を雇用する場合には、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。

パートに適用する就業規則については次のやり方があります。

① 正規の職員に適用される就業規則の中で、パートに適用されない条項を示す、あるいは、パートにも適用する場合の取り扱いを特別に規定しておく

② パートのみに適用される就業規則を別に作成する

という方法です。何が言いたいのかというと、就業規則を正規の職員だけに適用するのか、パートにも適用するのか、パートだけに適用するのか、分かるように作っておかないとトラブルになりますよ、ということです。

例えば、漠然と一律の就業規則があるだけだと、昇給、賞与、退職金の規定がパートにも適用されることになります。就業規則を作った経営者にそのつもりがなくとも、その病院に勤める人には賞与を出しますと書いた以上はパートにも出さなければうそつきになります。

法律や通達、働く人の実態は時とともに変化します。職場のルールを置き去りにしていると怖いことになります。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月28日 日曜日

医療機関の労務 パートタイム労働法が求めるもの①

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

パートタイム労働法では、パートの雇い入れに際して労働基準法で明示が義務付けられている項目のほか、次のような明示の義務を課しています。

① 昇給の有無
② 退職手当の有無
③ 賞与の有無

これを紙に書くなり、ファックスやメールで送るなりして示さなければなりません。

法律の文面では①のように「昇給」と書いており、法律を作る人たちは給与は上がるものとしか考えていないのではないかと思われる節がありますが、私は「給与額の改定」といった表現で、下がることもありうる意味の言葉を使った方がよいと思っています。

また、期間を決めて雇う契約(有期労働契約)で雇い入れる場合には、次のこともはっきりさせておく必要があります。

① 有期労働契約を更新することの有無
② 更新がありうる場合、更新するかどうかの判断基準

こういったことが事細かに法律や告示で定めらたのは、上記の点でトラブルが多発して社会的に問題になったからです。言い換えれば、このようなポイントをはっきりさせないでパートを雇うと、高い確率でトラブルになるということが分かっているということです。

もう少し言えば、これらのポイントはパートを雇い入れる際のリスク回避の最低限の押さえどころだということです。つまり、募集、選考、採用、契約といった雇い入れの手順において適正な手続きを踏んでいれば、トラブルを起こすような人はなかなか入ってこられないようになっているのです。裏を返せば、病院側がきちんとしていたら、いい人が入ってくる可能性が相対的に高まるということでもあるのです。

パートは重要な戦力ですから、いい人が入ってきてくれないと経営に響きます。

真剣に取り組んでもなかなかいい人に当たらないという場合は、何が問題なのか、客観的に見てもらう機会を作ってみるとよいと思います。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月27日 土曜日

医療機関の労務 パートに適用される労働関係法

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

フルタイムで勤務する看護師による夜勤・当直の交替制を円滑に運営するために、パートタイムの看護師を積極的に活用しているところが数多くあります。また、レセプトの作成や調理・栄養部門などでもパートタイムの職員を数多く活用しています。このようにパートタイマー(パート)は今や、医療機関で大変大きな戦力となっており、必要不可欠な存在となっています。

しかし、パートについては「解雇しやすい」「有給休暇を与える必要がない」「社会保険の対象外」といった間違った思い込みをしている経営者の方が多く見受けられ、それが無用のトラブルの根底にあったりするのです。残念でなりません。

間違ってはいけないのは、パートであっても労働者に変わりはないということです。労働基準法をはじめとして労働安全衛生法、最低賃金法、労災保険法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法などの労働関係法令は適用されます。また、雇用保険、健康保険、厚生年金保険も、一定の要件(週所定の労働日・時間)を満たしている場合には、当然に被保険者として適用されます。

例えば、年次有給休暇は週の所定労働時間が30時間以上または週5日以上であれば、正規の職員と同じ日数を与えなければなりませんし、30時間未満とか週4日以下でも、それに応じた日数の有休を与えなければなりません。

また、育児休業や介護休業にしても、
① 1年以上継続して働いている、
② 子が1歳を過ぎる、または介護休業が93日を過ぎるまで継続して働く見通しである、
という場合には、期間限定の雇用契約(有期労働契約)の場合であっても育児休業あるいは介護休業を取ることができます。

このように、パートにも正規の職員と同様に労働関係法令が適用されますが、パートの特性というのもあるので、パートタイム労働法という法律も作られており、厚生労働省から労務管理上留意すべきことがいろいろと出されています。

経営側としてはその法律や通達を事細かく知っておく必要はありませんが、パートの労務管理を甘く見ていると痛い目に遭う可能性があります。知識がなければ専門家の力を借りてリスクを回避しつつ、その労働力を有効に活用したいですね。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月25日 木曜日

医療機関の労務 ヒューマンエラーの防止と安全衛生

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

病院・診療所の医療現場では多くの医療器材を使いますが、経験と勘に頼る手作業も数多くあります。そのちょっとした誤りが患者及び医療従事者を大きな危険にさらすことがあります。このため、ヒューマンエラーをいかに防ぐかは、医療機関の安全衛生活動にとって非常に大きな意味を持ちます。

医療現場における安全についてよく知られたお話があります。1つの重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背後には、傷害には至らない330もの事故があるというものです。こうした見えないアクシデントは「ヒヤリハット事故」と呼ばれています。

医療現場で「ヒヤリ」としたことや「ハット」したことを経験していない人はおそらくいないでしょう。これらの経験は災害防止策を考える際のアイデアの宝庫と考えられています。ヒヤリ、ハットだけで終わらせず、その原因を見つけ、対策を立て、二度と繰り返さない方法を編み出すことが重大事故の芽を摘む秘訣となります。

医療現場には、例えば次のような危険因子がたくさん潜んでいます。
① 採血時などの針刺し事故
② 医療廃棄物を扱う際に保護手袋を使わないなどの不適切な作業
③ カルテや処方箋等の記載ミス
④ 申し送りミス
⑤ 検体などの採り違い
⑥ 病理検査室でのホルムアルデヒド曝露、薬剤部での抗がん剤曝露
などなど

こうした危険因子が顕在化するのを防ぐには、工場などの製造現場ではすでに常識になりつつある以下のしくみ作りと周知、実践、検証、改善の循環が大切になります。
① 作業のマニュアル化
② 声を出しての指差し確認
③ ダブルチェック
④ 責任体制の明確化
⑤ 部署内、部署相互のコミュニケーション活性化

医療機関は専門的な知識、技術を必要とする仕事の集合体であるため特有の有資格者が多く、自分以外の仕事には口出ししたがりません。結果、無関心を装うことが無難で賢い処世術であるかのような風潮が見られがちです。実はそこに落とし穴があり、防げたはずの医療事故が起こってしまうというわけです。

そうではなく、経営者は病院・診療所を一つの医療チームとしてまとめ、受付、診察、検査、処置、薬局、会計などを一繋がりのサービスとして完成させることが安心の医療につながるものと思います。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月24日 水曜日

医療機関の労務 安全衛生事項

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

病院・診療所には、他の業種とは異なる、特有の安全衛生事項があります。病気の人やケガをした人たちが集まる場所で、そういう人たちをケアするのが仕事なわけですから、病人・ケガ人と同じレベルでは困ってしまいます。より高度な、専門的な知識と技術が必要だということですね。

① 感染症対策及び院内感染防止対策

(1) 感染症対策

病院・診療所には、様々な病気にかかった患者が来院してきます。言うまでもなく、職員自身がこれらの病気に感染することのないよう、しっかりした感染予防対策が必要になります。

汚染された疑いのあるマスクを使わない、爪や指間、手の甲、手首まで決まった方法、決まった秒数以上、作業の都度、手洗いをするという具体的なマニュアルを作って実践する、ルールとチェック体制を整えましょう。そのための教育訓練、管理責任体制も職員全員に見える形で整備すべきです。

(2) 院内感染防止対策

職員が患者からうつされないのはもちろん、職員が感染症を院内で媒介してしまっては、医療機関としての存続にかかる大問題になってしまいます。手洗い、手の消毒、病棟の清掃、医療器具の消毒、消毒液の正しい利用、ケア時の防護用品の使用と事後処理などの対策マニュアルの整備、また、身だしなみとしても、髪の長さ・色・整髪剤、爪の長さ・飾り、指輪、カーディガン、靴などについても、できればきちんと規程を作ってコントロールすることを考えましょう。

② エックス線業務従事者

放射線は人体に及ぼす影響が大きいことから、エックス線業務従事者に対しては、労働安全衛生法、電離放射線障害防止規則において、以下の規制が設けられています。病院・診療所ではこれらの法令を守る仕組みを作って実行していかなければなりません。

(1) 管理区域への立ち入りの制限
(2) 放射線業務従事者の受ける実行線量の制限
(3) 放射線業務従事者の受ける等価線量の制限
(4) 被曝線量の測定とその結果の確認・記録

具体的な数値や対象についてまでは突っ込みませんが、絶対に事故が起こってはいけない分野ですので、知識のある職員だけが気を付けるというのではなく、知識のない人が誤って事故を起こさないようにするための組織的な取り組みを含めて管理体制を確立しなければなりません。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月22日 月曜日

医療機関の労務 安全衛生管理体制

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働安全衛生法という法律があります。この法律では、事業場の規模と業種によって、一定の安全衛生管理体制を整備するように求めています。ここでは中小規模の病院・診療所を想定して、その範囲のお話をしていきます。

でも、まず、その前に、この法律の名前にある「安全」とか「衛生」とかいう言葉の意味を確認しておきたいと思います。

「安全」ということばは、けがをしないという意味です。また、「衛生」ということばは、病気をしないという意味です。ですから、安全の方は建設とか製造とか運輸とかいった業種が対象になり、衛生の方は全部の業種で管理するよう求められます。病院の場合は「衛生~」です。

① 衛生推進者

常時10人以上50人未満の職員を使用する病院・診療所では、衛生推進者を選ばなければなりません。衛生推進者を選んだことについて、労働基準監督署長に届け出る必要はありませんが、職員に周知する必要があります。衛生推進者は衛生に関する以下の業務を担当します。
(1)職員の健康障害を防止するための措置
(2)職員の衛生教育の実施
(3)健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置
(4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
(5)その他労働災害を防止するために必要な業務

② 衛生管理者

常時50人以上の職員が勤務する病院・診療所では、第1種衛生管理者もしくは衛生工学衛生管理者免許を持っている者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等のうちから衛生管理者を選ばなければなりません。衛生管理者を選んだら労働基準監督署長に届け出ること、および職員に周知する必要があります。

選任する衛生管理者の数は、常時勤務する職員数が50人以上200人以下なら1人以上、201人以上500人以下なら2人以上となっています。

衛生管理者が行う業務は以下のようなことです。
(1)健康に異常のある者の発見及び措置
(2)作業環境の衛生上の調査
(3)作業条件、施設等の衛生上の改善
(4)労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
(5)衛生教育、健康相談等職員の健康保持に必要な事項
(6)職員の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤及び異動に関する統計の作成
(7)衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
(8)少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害の恐れがあるときに、直ちに、職員の健康障害を防止するため必要な措置を講じる

③ 産業医

常時50人以上の職員が勤務する病院・診療所では、産業医を選任しなければなりません。選任したら労働基準監督署長に届け出ること、および職員に周知する必要があります。産業医は以下に関することを行います。
(1)健康診断の実施及びその結果に基づく職員の健康を保持するための措置
(2)作業環境の維持管理
(3)作業管理
(4)職員の健康管理
(5)健康教育、健康相談その他職員の健康の保持増進を図るための措置
(6)衛生教育
(7)職員の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置

産業医は院長等の経営者に対して勧告し、衛生管理者に指導・助言することができます。また、少なくとも毎月1回、病院・診療所を巡視し、作業方法または衛生状態に有害の恐れがあるときは、直ちに職員の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

この他にも以下のような衛生管理体制を整備しなければなりません。

④ 衛生委員会の設置
⑤ 衛生教育の実施
⑥ 健康診断の実施
⑦ 労働災害の報告

医療機関の衛生に関しては、過重労働やメンタルヘルス不調の問題も取りざたされる一方、感染症や院内感染、エックス線業務従事者への対応といった特有の事情もあり、他の業種以上に衛生管理体制を整えておかなければならない業種であることは確かです。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月21日 日曜日

医療機関の労務 整理解雇

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

経営不振等を理由に、事業再編の一環として人員整理(整理解雇)を行う場合があります。この場合には、解雇される職員に非がなく、また複数名が同時に切られるわけですから、問題の規模や深刻さも大きく、裁判で争うことになるケースも少なくありません。

このため、整理解雇が有効かどうかについて多くの裁判例が積み重ねられ、現在では4つの要件が必要であるといわれています(4つ全部揃わないと有効にならないという4要件説以外に、必ずしも4つ全部が揃わなくても有効となるという4要素説があります)。

① 経営上の必要性に迫られている
倒産寸前とか、そこまでいかなくとも3期連続大赤字だとか、経営的に考えてやむを得ない事情があること

② 解雇回避措置をとっている
人員削減は最後の手段であって、それに踏み切る前に、職員を配置転換させる、役員報酬をカットする、管理職手当をカットする、パート・アルバイト職員を解雇(雇い止め)する、希望退職を募るなど、整理解雇をできるだけ回避する経営努力を行ったこと

③ 解雇対象者の選定が妥当である
解雇の対象となる職員の選定基準(例えば、出勤状況、勤務態度、勤務成績、勤続年数、年齢、扶養家族の有無、再就職の困難さなど)が合理的であり、かつその基準の適用が公平になされていること

④ 解雇に至る手続きが妥当である
整理解雇しなければならない事情や経緯などを労働組合や職員に説明し、経営上の数字を明らかにして理解を求め、職員側の事情を十分に聞いた上で、協議を尽くすなど解雇手続きが妥当であること

経営側としても好き好んで職員を整理解雇したいとは思わないと思います。ですが、一部の職員を削ってスリムにならないと病院全体が潰れてしまう。潰れてしまったら職員全員が路頭に迷う。地域社会にも大きな迷惑をかけてしまう。それは許されない。そういうギリギリの状況の中で苦渋の決断をするわけです。非常に困難な取り組みですね。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月20日 土曜日

医療機関の労務 解雇予告手続き

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

職員を解雇する場合には労働基準法に基づいた手続きを踏む必要があります。

① 少なくとも解雇日の30日前に本人に予告すること

または、

② 平均賃金の30日分以上の額の解雇予告手当を支払うこと

平均賃金というのは、簡単にいうと、直近3か月分の給料をその日数(91とか92とか)で割った金額です。ここでいう給料や賃金には賞与や見舞金などは入らず、3か月には産前産後の休業期間や試用期間は入りません。

上記の①と②は、どちらか一方でなければならないというわけではありません。解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができます。例えば、平均賃金の20日分の解雇予告手当を支払えば、解雇予告は解雇日の10日前までに行えばよいことになります。

また、解雇予告は口頭でも有効ということになっていますが、無用なトラブルを防ぐためにも、書面で、解雇日をはっきりさせて行うことが重要です。

次に、解雇予告が必要ないケースをみてみましょう。

① 天災その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

ただし、これには労働基準監督署長の認定が必要です。

② 職員の方に責任がある場合

ただし、これにも労働基準監督署長の認定が必要です。どんな場合かというと、
(1)事業場内で泥棒や傷害事件を起こした場合
(2)賭博など、職場規律を乱した場合
(3)看護師として採用したのに実は資格を持っていなかったという場合
(4)断りもなく他の病院に転職した場合
(5)2週間以上無断欠勤し、出勤するように何度言っても応じない場合
(6)出勤不良で、何度注意しても改めない場合
などです。

③ 解雇予告が必要ない場合が労働基準法に書いてあり、それに該当する場合

どんな場合かというと、

(1)契約期間が2か月以内
ただし、その契約が更新され、もっと長く働くことになった場合には解雇予告が必要になります。

(2)14日以内の試用期間中
試用期間中でも15日目以降は解雇予告が必要になります。

いちいち全部覚えておくこともないと思いますが、解雇には原則的に予告が必要だということと、労働基準監督署長の認定が必要な場合があることは知っておくとよいと思います。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月18日 木曜日

医療機関の労務 解雇できない

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

医療機関に限らず、経営者が職員を解雇するというのは、一般的には非常に難しいといわれていますが、もし、その解雇が有効か無効かで裁判に持ち込まれたら、それはケースバイケースで判断がなされます。ただし、法律上、この場合には解雇できませんよとはっきり謳われているものがあります。どんな場合かを見ていきましょう。

① 職員の業務上の負傷、疾病による休業期間及びその後30日間

業務上ということですから、私的なことで負ったケガや病気、また、通勤のときのケガで仕事を休んだ場合には解雇は不可能ではありません。たまに間違える人がいるのですが、労災がらみなら解雇できないと理解している人がいますが、そうとは限りませんので注意が必要です。

② 産前産後の休業期間及びその後30日間

母体保護の観点から、法は産前産後は仕事させるなといっています。その間や直後に解雇してはいけないということです。ちなみに、有期雇用契約の方が産休に入り、途中で契約期間が終わったら、その人は仕事を辞めることになります。でもこれは解雇とは別です。

③ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇

そういう理由で解雇するのは差別です。それはいけません。

④ 労働基準監督署などに申告したことを理由とする解雇

行政に知られたくないこと(違法行為とか)を役所に通報した職員をクビにするというのはだめでしょう。

⑤ 女性であること、結婚・妊娠・出産したこと、産前産後の休業を申し出たこと、または休業したことを理由とする解雇

寿退職とかいう言葉は昔からありますが、寿解雇はありません。また、労働基準法では産前産後の休業中およびその後30日は解雇できない(①のこと)とありましたが、⑤は男女雇用機会均等法の話で、①の前後を押さえた形です。申し出たからクビ、休業したからクビというのもだめだよということです。

⑥ 職員が育児休業もしくは介護休業の申し出をしたこと、または育児休業もしくは介護休業をしたことを理由とする解雇

これは育児介護休業法による解雇制限です。

また、個別紛争法(正式にはもっと長い名前です)には以下のようなものもあります。

⑦ 個別紛争法に基づいて、労働局長に対し、助言・指導の援助を求めたこと、紛争調整委員会にあっせんを申請したことを理由とする解雇

パートタイム労働法でも同じように、局長に援助を求めたこと、調停を申請したことを理由とする解雇を禁止しています。

だいたいパターンが見えてきましたね。労働組合法にもあります。

⑧ 労働組合の組合員であること、労働組合に加入したこと、これを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇

趣旨は、とにかく労働者の保護ですよね。経営者の一方的な都合や偏見で職員をクビにするのは許さないという姿勢です。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

2013年4月17日 水曜日

医療機関の労務 解雇に必要な要件

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

経営が思わしくないから、とか、仕事の出来が悪いから、と言って職員を自由に解雇できるわけではありません。

下記の要件を満たさない解雇は無効とされる可能性大です。場合によっては、解雇無効とか、使用者の解雇権濫用を不法行為とする損害賠償請求などで裁判所に訴えられることもあります。そうすると、まず、賃金仮払いの仮処分申請が出され、それが通ると、解雇したつもりの時点からの賃金を支払わなければなりません。

そこから先は、判決が出るまでの1~2年間、実際に働いてもいない、クビにしたはずの人間に給料を払い、高い弁護士費用を払い、慣れない公判に神経をすり減らし、近所には悪いうわさが広がったりして、良いことは一つもありません。

これで裁判に負けてしまった日には、損害賠償金をどっかり支払わされるだけでなく、顔も見たくない元職員に戻って来られ、職場の雰囲気は最悪です。

解雇に必要な要件

① 該当する解雇事由が就業規則にあること
② その解雇理由が客観的に合理的であること
③ 解雇のための正しい手続きを踏んでいること

解雇の話を聞いていると、よく「客観的に合理的な理由」というフレーズが出てきます。どのような場合がそうなのかは具体的に法律に書かれているわけではありません。裁判の例の積み重ねで、だんだんはっきりしてきたかな、という感じです。

噛み砕いて言ってみると、こんな感じです。

① 就業規則に解雇事由の項目としてちゃんと書いてあり、それにぴったり該当すること
② その人のやったことが解雇にあたるということが世間一般の考え方からして妥当と思われること
③ 解雇処分が、他の従業員の処分とバランスがとれていること
④ 解雇に至る手続きが経営者側の一方的な進め方でなく、それなりにフェアであること

他にもケースバイケースでいろいろと検証されるのですが、最低限、解雇事由として就業規則にぴったり当てはまる規定がないと解雇はできません。

解雇は、その人の収入の道を断つことになるわけですから、その人が路頭に迷っても仕方ないというくらいの悪行を犯したのでないと、解雇はできないと考えるべきでしょうね。

投稿者 たつみ社会保険労務士事務所 水本智 | 記事URL

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