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健康経営とワークライフバランス

ワークライフバランスの重要性

少子化による新卒採用難、仕事と育児との両立、仕事と介護との両立、仕事と治療との両立、仕事と自分時間の使い分け。さまざまな事情によりフルタイムで働く人は今後ますます減っていきます。短時間でも不定期でも、働ける人が働ける時間に、働きたい人が働きたい時間に働くという世の中にますますなっていきます。
ワークライフバランスは、ワークエンゲイジメントを高め、経済的な自立、健康で豊かな生活、多様な働き方/生き方を実現する極めて重要な要素になりました。

多様な働き方の提供と就業規則見直しの必要性

働く側からは自分のワークライフバランスにおいて自分に合った仕事を探し、選んでいくようになるでしょうが、会社側にすれば、就業の時間や場所を問わない業務のバリエーションを増やして、優秀な人材に選んでもらえる仕事を提供する必要が出てきました。
一つの塊として認識されていた業務を分析、分解し、複数の作業を組み上げた成果物と考え、各々の作業を大勢の社員がさまざまな時間帯、場所で分担し、個々に出された成果を別の社員が組み立てて業務を完成させるといった仕組みが成立すれば、多様な働き方が提供できることになります。

それぞれに異なる社員の労働時間の管理、災害が起こったときの業務上か業務外かの区別、会社の機密情報/個人情報の管理、服務/懲戒のルール、賃金につながる仕事の評価をどうするかなど、毎日会社に来て働くことが前提だった就業規則は見直さなければならなくなったと思います。

多様なワークスタイルにおける健康経営戦略

リモートワーク

その土地ならではの自然の景色、温泉、料理、歴史、文化、風習などを五感で味わってもらう場や人のもてなしを提供する産業には向かないことでしょうが、業務上の指示、工程管理、情報交換、相談、会議、報告といったコミュニケーションをネット上で行い、最終的に求める成果物を作ることができたら、組織メンバーはどこにいても仕事ができることになります。
人が移動する時間と旅費/交通費はかからなくなって、その分仕事の効率や生産性が上がるというメリットは確かにあるでしょうが、最近は社員のメンタルヘルス上の問題点も指摘されています。リアルな職場では普通にあった仕事以外でのコミュニケーション(休憩中の他愛無いおしゃべり、流行りの映画や芸能情報、憂さ晴らしの愚痴、他部署の人のうわさ話など)がほとんどなくなり、一人自宅で仕事をする孤独感、ときには孤立感に襲われ、不健全な精神状態が続いてメンタルヘルス不調に陥る人が増えています。

リモートワークにおける健康経営戦略


常時50名以上の事業場には衛生委員会の設置が義務付けられていますが、もっと小規模の事業場でもメンタルヘルス対応の体制と施策を作るべきではないかと思っています。メンタルヘルスは日頃の様子のわずかな変化に気づくことが大事に至らないポイントですから、気軽に相談できる産業医を選任するのが理想ですが現実には難しいと思われます。むしろお勧めするのは、相談しやすい保健師や産業カウンセラーなどの産業保健スタッフが通常の相談窓口になっている精神科や心療内科の医療機関の医師である産業医を選任することです。

ダブルワーク

かつて就業規則には、この会社に勤める以上、当社の仕事に専念し、同時に別の会社に雇用されたり個人事業主として働いてはいけないという規定や、技術情報や顧客情報の流出を防ぐために在籍中はもちろん退職後も同業の他社に入ってはいけないという内容の規定がありました。実は今でもそのような規定が残っている会社があります。
しかし、一か所からの収入で家族が生活できる保証がない時代になり、そのような規定はむしろ有能な人材を確保するためには足かせになる可能性が出てきました。

ダブルワークにおけるリスクマネジメントと考え方


機密情報などの流出を防ぐには、入社時の誓約書提出や懲戒規定の整備と運用によって可能でしょうし、兼業や複業によるビジネス経験が自社での仕事に活かされる可能性すらあると前向きに考えた方がよいかもしれません。

病気と共に働く人

かつて会社の健康管理の基本は病気の予防でしたが、超高齢社会の今、それでは収まらなくなっています。60歳や65歳を超えて雇用されている人は増え続けており、多くの人が何らかの病気にかかりながら働いています。その中でも癌は年齢とともに発症率が高くなる病気ではありますが、今は昔と違って「治る病気」「付き合っていく病気」として認知されるようになり、社員が癌になっても働き続けられる就業支援と環境整備が必要になってきました。

病気と仕事との両立支援


病気の治療と仕事との両立支援として、通院時間の確保、業務負担の軽減、職場環境や作業方法の変更などを行いますが、病気を抱える本人の考えと体調、主治医の意見やアドバイス、職場の上司や同僚の配慮などを組み合わせて支援内容を検討します。会社は両立支援に取り組む基本方針を立て、社員に周知、意識啓発し、本人や同僚からの相談窓口を設置し、治療のための休暇や短時間勤務制度を作るなど支援環境を整備します。

休職と復職

何らかの事情で働けなくなったら、労働の対価として賃金を支払うという雇用の関係が成立しなくなりますから、会社を辞めてもらう正当な理由になると思われますが、一定期間会社に貢献してきた人を無下に切るのではなく、雇用関係を維持したまま休んでもらって、働けない事情が解消したら戻ってきてもらうという制度が休職/復職です。

最近多いのがメンタルヘルス不調による休職のケースで、その不調が私傷病なのか業務上の何かに起因するものなのか判断しにくいことがあり、安易に解雇してしまったのちに訴えられ、長い審理の末に解雇権濫用で解雇無効を言い渡され、結局金銭による和解にたどり着くまでに会社が疲弊してしまうというリスクになります。
また、回復したように見えても数か月後に同じような不調が現れたりすることもあり、先の見えない休職/復職の繰り返しになる恐れもあります。こうしたことは企業規模に関係なく起こり得ることで、規模の小さい会社こそ問題が起こったときのダメージが相対的に大きくなるため、その備えはより重要です。

休職と復職におけるリスクマネジメント


休職/復職させるときの判断基準、プロセスを決めておき、復職前後のケア、フォローの体制を整えておくことが望まれます。一方で、休職期間満了による退職がトラブルにならない就業規則の整備と規定を適用するときの適正な手続きが重要です。

職務・地域限定正社員

専門的な知識、技能、資格を活かした職務を続けたいと思っている人や家族の介護などで転勤できない人には職務・地域限定の採用がマッチするかもしれません。

職務・地域限定正社員採用時のリスクマネジメント


限定正社員として採用したはいいが、業績の悪化などで担当の業務そのものがなくなってしまうこともあり得ることで、そうした場合の処遇変更の可能性を含む特約条項付きの雇用契約書を用意しておく必要があるのではないかと思います。

サービス

健康経営

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