外国人材の雇用管理 その3
ここでは、外国人を受け入れる日本の会社として、法律上しなければならないこと、してはいけないこと、一定の範囲で自由に決められること、そして、その大体の範囲を知っておきましょう。
労働契約に関する法律は、主に労働契約法と労働基準法に規定があります。
労働契約法は労働契約に関して労働者と使用者が守るべき民事的なルールを定める法律で、平成20年3月から施行されています。労働基準法は労働条件の最低基準を定めており、その規定に違反があった場合は労働基準監督署から監督指導され、悪質な違反には罰則が適用されることもあります。
労働契約とは(労働契約法第3条)
労働契約とは、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者が労働者に対して賃金を支払うことを内容とする約束のことで、労働者と使用者には労働契約を遵守することが求められます。
労働契約を締結・変更するときには次の5つの原則に従って行います。
①労使対等の原則 使用者が強い立場から一方的に劣悪な労働条件を押し付けたりしないこと
②均衡考慮の原則 仕事の難しさ、責任の重さ、経験や能力、労働時間の長短といった就業実態に見合った賃金、待遇にすること
③仕事と生活の調和への配慮の原則 育児や介護などの状況に気遣って仕事と生活の両立がしやすくなるようにすること
④信義誠実の原則 約束を守り、誠実に務めを果たすこと
⑤権利濫用の禁止の原則 労働契約に基づく権利だからといって限度を超えてむやみに行使しないこと
労働契約の確認と理解(労働契約法第4条)
使用者は、労働契約の締結・変更前に、労働者に対して就業環境や労働条件を丁寧に説明し、労働者に分からないことがあったら誠実に答えなければなりません。また、労働契約の内容はできる限り書面で確認することが求められています。
労働条件の明示(労働基準法第15条)
労働契約を締結するときのプロセスとして、労働基準法では、使用者が労働者に対して労働時間や賃金などの労働条件を明示しなければならないと定めています。
労働条件の明示事項(労働基準法施行規則第5条)
〇必ず明示しなくてはならない事項
・労働契約の期間
・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(契約終了時点の業務の残量、就業態度、評価など)
・就業の場所、従事すべき業務
・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、交代勤務制の場合はその仕組み
・賃金の決定(月給か時間給か、出来高給や各種手当があるかなど)、計算(割増賃金の割増率など)及び支払いの方法(現金手渡しか口座振り込みかなど)、賃金の締め切り及び支払いの時期、昇給
・退職に関すること(定年、継続雇用制度、自己都合退職の手続き、解雇の場合の事由と手続き)
〇制度がある場合には明示しなくてはならない事項
・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、退職手当の支払いの時期
・臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等、最低賃金額
・労働者に負担させる食費、作業用品など
・安全及び衛生に関すること
・職業訓練に関すること
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関すること
・表彰及び制裁に関すること
・休職に関すること