労働基準法に違反するということ
会社の規模や事業の種類などによって範囲や対象の違いはありますが、基本的に使用者がいて労働者がいる会社には労働基準法や労働安全衛生法が適用されます。これらの法律には会社が労働者を使って事業活動を行うために最低限守らなければならない労働条件が規定されています。これらの法律に違反することは最低限にすら達しない状態だということであって、社会の中で事業を行う資格が問われるほどの重大なリスクとなります。とは言っても、法違反を犯しているかどうかは、法を知っていなければ分からないものです。
では、もし、知らずに違反していたことを労働基準監督官に指摘された場合、「知らなかったのだから仕方ないでしょう。」で許されるかというと、そうはいきません。知らなかったこと自体がまずもって問題(知りながらの違反はもっと問題)であって、そこから指導が始まります。いきなり書類送検されないのはそのような順序があるからで、違反の程度によって指導票か是正勧告書が交付されますが、いずれにせよ短期間で違法状態を是正しなければなりません。
労働基準監督署の役割
労働基準監督署は、労働条件および労働者の保護に関する監督などを行う行政機関で、労働基準監督官は、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿や書類を調べる権限を持っており、労働基準法や労働安全衛生法などの違反の罪について刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行います。簡単に言うと、労働基準監督署は労働法における警察で、重大悪質な法違反には逮捕もあり得るということです。
労働基準監督署による監督
労働基準監督署は、会社に労働法令の違反がないか実情を調査して、改善すべき点があれば指導を行います。調査の結果、法令違反の恐れがある場合には指導票、法令違反があると判断された場合には是正勧告書が交付されます。是正勧告自体は行政指導であり法的な強制力はありませんが、是正勧告を無視して是正報告をしなかったり、虚偽の報告をしてごまかしたり、不誠実な対応をとると司法処分(送検)されることがあります。