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コラム

就業規則 労働時間と賃金

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

働く職員(労働者)にとって労働時間と賃金の関係はとても重要です。

職員としては、働いた分はもらわないと割に合いません。「働いた分」というのは「働いた時間」のイメージですね。つまり、労働時間と給料の額は連動しているとの認識が強いものです。

今は医療機関を例にしてお話ししていますので、経営(使用者)側の代表を院長としますが、その院長としては、具体的な診療に結びついた業務に対してはお金を払う気持ちがあるかもしれませんが、中身を問わない「時間(出勤時刻から退勤時刻までの時間-休憩時間)」に対して無条件に給料として払う気にはなかなかならないのではないでしょうか。

やはり、経営者としては、職員に支払う賃金について、月〇〇時間の労働に対して、基本給いくら、〇〇手当いくら、社会保険料いくら、超過勤務の月平均約〇時間でいくら、そのうち法定時間外労働〇時間で割増賃金いくら、賞与いくら、トータルで前月の支給額いくらという詳細は毎月確認し、人件費総額と収入に対する割合の変動には注意を怠らないようにすべきだと思います。

さて、前回の続きになりますが、所定労働時間が1日8時間、週40時間の病院で出勤日数が年240日のAさんなら、1か月の出勤日数は20日、労働時間は160時間となり、年間では1920時間となります。これが1日7時間労働で他の条件が同じBさんなら、1か月の労働時間は140時間で、年間では1680時間となります。

AさんとBさんの1か月の給料が同じ25万円だとしたら、どうでしょうか。

AさんとBさんの年間の所定労働時間には240(=1920-1680)時間の差があります。同じ給料でAさんはBさんの1.7(=240÷140)か月分も長く働いていることになります。

時給に換算するとAさんは1562円、Bさんは1785円となり、仮に両名が月180時間働いたとすると、法定時間外の割増を加味して、その月の給料はAさんが28万9050円、Bさんは33万325円となり4万円以上の差が出ます。

(注)Aさんは20時間の法定時間外労働で0.25倍の割増があります。
したがって、25万円+1562円×(1+0.25)×20時間=28万9050円
Bさんは40時間の超過勤務ですが、そのうち20時間は法定内なので割増がなく、それ以降の20時間は法定外なので0.25倍の割増があります。
したがって、25万円+1785円×1×20時間+1785円×(1+0.25)×20時間=33万325円

職員からすれば、Bさんの所属する病院は優しい職場で、定着率もよいかもしれません。一方、Aさんの病院は職員に厳しいところで、入れ替わりの激しいところかもしれません。そうすると、新しい職員に対する引継ぎも頻繁で、本来の業務がスムーズにいかないかもしれません。

一方、経営(院長)側の立場から考えると、Bさんの病院はコストがかかります。設備や患者へのサービスにお金を回すことが難しく、他の医療機関との競争力が劣ってしまう懸念もあります。

大切なことはバランスということになるでしょうが、規模が小さく、これからいろいろ整備していこうというところであれば、所定労働時間は1日8時間がよいと思います。

病院・診療所の運営が効率よく回るようになったら、所定労働時間を短くするなり給料を上げるなりして、職員によりよい条件で働いてもらえるように変えていったらよいと思います。

少なくともルールや体制が整っていない間は業務の効率は上がりません。余計な時間もかかってしまい、法定時間外の超過勤務も生じる可能性が高くなります。その分の割増賃金は経営に重くのしかかってきてしまいます。

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