就業規則 裁判員に選ばれた場合
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
裁判員制度で裁判員に選ばれて裁判所に行くのは公民権行使の一つです。
一般的に、就業規則には、選挙の投票に行くときなどの公民権行使の規定はあると思います。
が、裁判員制度に関しては、他の公民権行使と異なることが多いため、同じ規定の中で処理するのはトラブルの元になります。別途、項目を立てた方がよいでしょう。
裁判員になると、法廷での審理に参加するわけですから、実際に裁判所に行かなければなりません。
約7割の事件が3日以内で終わるとされていますが、残り約3割のうち、約2割が5日くらいまでかかり、約1割が5日超かかると言われています。
例えば病院の職員が裁判員に選ばれて裁判所に行くことになったら、その間は当然仕事ができません。しかも、開廷日は間隔をおかず連続することになっているため、最低でも3日間は続けて裁判所に拘束されることを想定しておかなければなりません。
仕事があるからといって裁判員になることを辞退できるかというと、なかなか難しいのかなと思います。
辞退できるのは、「事業場の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じる恐れがある」場合とされていますが、病院としては、他の職員で代われない仕事なのか、予定していた日程は変更できないのか、その人がいなくてどれほどの影響があるのかといったことを証明しなければならず、病院としてその人に辞退させることは難しい気がします。
さて、それでは、職員が裁判員として裁判所に行くことになったら、の話です。
ポイントとなるのは、仕事を休む数日間を有給とするのか無給とするのかでしょう。
大きい病院であれば有給としているところが多いようですが、診療所などでは費用負担が馬鹿にならないので悩ましいところです。
だからなおさら、就業規則上の規定としてきちんと決めておかないと、現実にそういう人が出てきたときにトラブルになりかねないと言えます。