採用時の提出書類
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
採用が決定した後に提出してもらう書類についてお話しします。
まず、人を雇ったら自動的に発生する事務的な事柄に関する書類がありますね。雇用保険・健康保険・厚生年金といった社会保険関係の手続き、前職があれば源泉徴収票や扶養控除など税金関係の手続き、通勤手当・家族手当の算定や給与の振込などの処理に必要な情報を得るための書類が挙げられます。
また、そういうものとはちょっと違った性質の提出書類もあります。誓約書、身元保証書です。
誓約書には、最低でも、就業規則の遵守、守秘義務、個人情報保護義務について記載しておかないといけないでしょう。企業によっては入社誓約書と秘密保持に関する誓約書の二つに分けて、それぞれ具体的に項目立てして約束させる形をとり、提出を求めるところも多くあります。
身元保証書については別の機会にお話します。
さて、提出してもらう書類の内容について、注意しなければならないことがあります。それは、人権やプライバシーに関することです。
採用された人の家柄、先祖の社会的身分が推察できるような書類は提出させてはいけないことになっています。労働条件の差別的取扱いにつながる可能性があるとされているからです。
具体的には、戸籍謄本(抄本)、住民票は提出書類として規定しないことです。住所地を公的な書類で確認するためには住民票記載事項証明書を提出させてください。
ただし、医療機関の場合は医師健康保険組合の加入時に住民票が求められることがありますので、その場合には使用目的をきちんと説明して提出を求めましょう。こういうことには敏感に反応する人がいます。誤解を与えない配慮が重要です。
マイカー通勤を許可しているところではマイカー通勤許可申請書といった書類を提出させると思いますが、無免許だったり無保険だったりすると病院側の管理責任を問われることにもなりますので、免許証や保険証券の写しも併せて提出させ、有効期限には注意を払い、更新時期をフォローして、常に有効期間内の書類の写しがある状態にしましょう。
通勤、業務ともに自動車の運転については気を付けないといけないことがいくつかあるので、日を改めてお話ししたいと思っています。
ところで、そういった書類の提出期限についてですが、入社日から3日以内というのがいいところだと思います。病気やけがはすぐに迫ってくるかもしれないことなので健康保険は一日も早く手続きしてあげたいですよね。厚生年金の被保険者資格取得届は5日以内に届け出ることになっていますから、やはり3日がいいと思います。
ただし、身元保証書は第三者にお願いする部分があることですので、これは別に期限を定めてもよいと思います。
さて、それでは、これらの書類を出さない人がいた場合ですが、何か隠しているのではないかとか、使用者に対して不信の念を抱いているのではないかとか、雇入れた側としては心配になりますね。そもそも入職直後から指示に従わないのですから、先が思いやられます。
そこで、就業規則には、所定の期日までに提出しなかった者は、第〇条の制裁処分の規定を適用する場合があるとか、採用を辞退したものとみなすことがあるとか、規定しておくとよいと思います。