非正規雇用 有期雇用契約の繰り返しは無期と同じです
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
一般的に、個人と個人が約束を交わすことは自由のはずです。
当人同士がそれでいいと言うなら、それで決まりですね。
雇用契約も私企業と個人との約束ですから、同じように考えてよいのではないでしょうか。
予め期間を定めた雇用契約について、その期間が満了したときには、当事者同士で合意して更新しない限り、その時点で契約は終了ということでよさそうなものです。
ところが、そうはいかない場合があるのです。
世の中の歴史的な事情があって、もっと労働者を保護しなければいけないだろうという考え方から、裁判上、この「私的な約束の自由の原則」が修正されているのです。
どういうことかというと、有期の雇用契約を何度も更新していると、使用者側が労働者に長期雇用を期待させたことになり、労働者は長期雇用のつもりになっているので、何度目かの期間満了(つまり更新)のタイミングで契約終了にしてしまうのは労働者保護の観点から簡単には認めるわけにいかないぞというのです。
例えば、3か月の契約で入ったパートタイマーが5回も10回も更新して、それなりに長い期間働いている事実ができると、そのパートさんとしては「私はこのままずっとここで働くのよ」と思うのが自然であって、それはつまり、会社はその人にずっと働いてもらいますよと言ったも同然であって、もう今さら簡単に切ることはできないということです。
そうすると、雇う側としては、有期契約のパートタイマーを雇用の調整弁として安易に採用し、無計画に更新を重ねることは、経営上危険だということが分かります。
注意点を整理してみましょう。
① 更新が繰り返されれば、それだけ雇用継続への期待はもたれやすくなります。
② 更新の手続きが形式的なものになっていたら、それだけ雇用継続への期待はもたれやすくなります。
③ 採用時に安易に「契約期間にはこだわらず、長期雇用を予定している」などと発言していれば、雇用継続への期待はもたれやすくなります。
④ 契約締結の時に、更新の可能性について、可能性があると明示し、その具体的基準をそのパートさんが満たしていれば、雇止めは難しくなります。
この手の問題を防ぐには上記のポイントを念頭において雇用契約をきちんと結ぶことと、業績を見通し、適正な人員配置を計画的に行うことが重要になります。
そして、次は更新しないと決めた従業員には早めに通知することです。
本人が次の仕事を探すための準備期間を確保することができるからです。