パートタイマーの試用期間
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
試用期間とは、新たに採用された人が正規従業員として相応しいかどうかを見極めるために設定する、入社後の一定期間をいいます。
なぜ多くの会社で試用期間を設けているかというと、日本の雇用の慣習として長期雇用が前提になっていて、一旦正規従業員として採用すると解雇するのが非常に難しい状況だからです。
解雇が難しいというのは、裁判になったら解雇無効と判断されることがとても多いという意味です。
クビにした従業員と裁判になるまでこじれて、1年も2年も争って、お金も相当に出て行って、挙句の果てに解雇無効の判決が出てその元従業員が会社に戻ってくるのは辛いでしょう。
もし入社した新人が実は無断遅刻の常習犯で、期待していた能力が全然なく、すぐに同僚や顧客とトラブルを起こす問題児だったら、このお試し期間のおかげで、不幸の芽を早期に摘み取ることができます。
これはパートタイマーにしても同じです。
特に、期間の定めのない雇用契約を結んで入ってもらうパートタイマーであれば、試用期間は設けるべきでしょう。
では、期間の定めのある雇用契約で入ってもらうパートタイマーの場合はどうでしょう。
契約そのものが期間限定ですから、もしハズレな従業員であってもその期間だけ我慢すればいいわけですから、試用期間を設ける必要性というのは相対的に低いとはいえるでしょう。
入った人が本当にいい人だったら試用期間など要らぬ心配でしかないのですが、そうでなかった場合に備えて、トラブルなくどうやって試用期間や雇用期間満了で契約を切ることができるかをきちんとしておくことがリスク回避策になるのだと思います。
つまり、どういう場合であれば試用期間満了で雇用契約を解約するのか、どういう場合であれば雇用期間満了時点で(更新せずに)契約終了とするのかを細かく就業規則や雇用契約書に書いておくことです。
そして、いつどのような場面で問題行動を起こしたのかを記録しておくこと、その行動に対しては教育的に注意して、改善させる方向で接していくことです。
ちゃんと言うことを聞いて、うまくやっていけそうなら切ることはないでしょう。育てて一人前にしてあげてください。
そうではなく、「この人は当社で働く資質がない」と判断せざるを得ないようなら、本人に対して、その証拠をもってきちんと説明して、去ってもらいましょう。