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コラム

専ら派遣

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

派遣元のお客さんである派遣先が1社だけで、派遣社員をそこにばかり派遣するのを「専ら派遣」といいます。

これは労働者派遣法で禁止されています。

こういう派遣元は、派遣先にとって第二人事部みたいなもので、派遣先の人件費抑制のための隠れ蓑になっている可能性も考えられます。

そもそも派遣という形態は、正社員がいない間の代替要員を確保することが趣旨です(でした?)。

パートタイマーやアルバイトと違って、一時的に欠けた正社員に代わって一定の期間、即戦力である派遣社員に所定労働時間きっちり穴埋めしてもらうという位置づけです。

時期が来たら正社員はまた戻って来る予定ですから、派遣というのは正規雇用を守る存在である(あった?)わけです。

だから、国としてはしばらく派遣拡大の方向で動いていたのですが、どうも当初の思惑通りの活用の仕方がされなくなって、人件費抑制のためのしくみに使われ出したので、いまや正規雇用推進の敵とみなされてしまっているような状況です。

ということで、登録制の派遣事業を始めようというときには国の許可が必要なのですが、「専ら派遣」を行わないことがその許可要件になっています。

許可されてから「専ら派遣」をやりだしたら、止めるように勧告されます。それでも止めなかったら、許可が取り消されることもあります。でも現実にはなくなることはありませんでした。

それは、「一生懸命営業努力はしているのですが、がなかなか実を結ばなくて、グループ内企業に派遣する割合がどうしても高い状態が続いているんです。」などと言い逃れていたからです。

ならば強引に規制線を引いてやろうということになって、2010年春の派遣法改正案では総派遣数の80%を超える割合で1か所に派遣社員を送り込んだら「専ら派遣」として規制しようという案が作られました。いわゆる「8割基準」です。

が、なかなか国会で決められず、やっと2012年10月に改正法施行にこぎつけました。

8割以下にしなさいという数値の計算は次の式で行います。

(A-B)÷C≦0.8

A: 全派遣労働者のグループ企業での総労働時間
B: 派遣労働者のうち60歳以上の定年退職者のグループ企業内での総労働時間
C: 全派遣労働者の総労働時間

※総労働時間とは派遣就業の時間全部であって、残業時間も含みます。

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