外国人登録証明書の廃止
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
昨年7月に変更された外国人の在留管理制度についてお話しします。
従来、日本に住んでいる外国人は「外国人登録証明書」を持っていました。日本国内での身分証明書です。
観光などで日本にやってくる短期間在留の外国人には関係ない話です。これを持っていたのは、日本人と結婚している人、日系人、企業に勤めている人、技能実習生、留学生、永住者などの方たちです。
新しい制度では、この外国人登録証明書が廃止され、「在留カード」というものに切り替わりました。
どうして外国人登録証明書ではダメだったのかというと、入国管理局(入管)にとって、国内に散った外国人の行方が把握しにくいからです。
外国人登録証明書は、住むことになった市区町村の役所に行って発行してもらうものです。
日本では外国人の戸籍や住民票はありませんから、その代わりに役所に外国人登録をし、身分証明書として外国人登録証明書(免許証のようなカード)を発行してもらいます。
何かの手続き上、住民票が必要な場合には、役所で外国人登録証明書を提示して「登録原票記載事項証明書」を発行してもらえば、住民票と同じように扱ってもらえます。
そういう役割がある外国人登録の証明書なのですが、入管が把握している外国人の居所(入国前の情報)とは必ずしも一致しません。
つまり一度引っ越してしまったら、入管としてはもうどこにいるか分からないのです。
結果として、外国人がらみの事件や事故があった場合に入管情報はあてにならないということになります。
言い方を換えると、役場に外国人登録してある情報も入国管理上の裏付けがないということにつながり、不正に結びつく危険性が高くなるということです。
身分証明書ですから、もし重大な犯罪に悪用されるようなことがあったら、利用された人が大変な目に遭うかもしれません。
ということで、その辺の問題を解決できる「在留カード」に換えることにしたのです。
在留カードは日本に上陸したとき、在留資格の変更のとき、在留期間の更新のときなどに交付されます。つまり、今度は入管が交付することになったわけです。
昨年7月の時点で外国人登録証明書を持っている人は、順次、変更・更新のタイミングで在留カードに切り替えが行われています。
在留カードの基本情報(初期データ)は入管が当初把握したものですが、これを持って市区町村役場に行くとそこで居住地の登録をすることができ、住民基本台帳制度の対象になります。すると、そのデータが入管と共有されることになります。
この先どこに引っ越しても、引っ越し先の役所に転居届を出せば入管が把握するというわけです。
入管は、手持ちデータの信頼性が増し、管理も楽になるので、在留期間も従来最長3年だったものが最長5年に延長されました。
最新の入管データもいろいろなところで照会できるようになりましたから、不正に利用されることも少なくなりました。