就業規則 普通解雇
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
解雇というのは、会社が一方的に職員を退職させることをいいますが、その解雇にも、会社・職員のどちら側に原因があったのかによって分類することができます。
1.職員の側に原因がある場合
① 普通解雇
② 懲戒解雇
2.会社の側に原因がある場合
① 整理解雇
という具合です。
今回は、このうち、普通解雇についてお話ししたいと思います。
普通解雇は、簡単にいうと、債務不履行による解雇です。債務不履行というのは、約束違反ということです。
つまり、労働者に働いてもらう替わりにお金を渡すという約束が労働契約ですから、満足に働いてくれないのは約束違反であって、それなら労働契約が成り立ちませんね、契約解消しますよ、と会社が一方的に労働者に言い渡すわけです。
約束違反の内容をもう少し分解してみましょうか。大きくは次の3つに分けられると思います。
① ちゃんと出勤しない(できない)。
欠勤はもちろん、それ以外にも遅刻、早退がむちゃくちゃ多ければ仕事になりませんね。健康状態とかが問題なのかもしれませんね。ただ、それが無断でのことだったら規律違反ということで懲戒の対象になるかと思います。
② ちゃんと働かない(働けない)。
理由はいろいろあるでしょうが、懲戒にならない理由です。例えば、能力があまりにも足りない、勤務成績があまりにも悪い、精神・身体の健康状態があまりにも悪いなどです。適性がなかったということかもしれませんし、ヘッドハンティングで採用した高給の特命部長があまりにも期待外れだったとかいう話もときどき耳にします。
③ 勤務態度に問題がありすぎる。
出勤はするが、それこそが迷惑、という感じかもしれません。人の話は聞かない、約束は守らない、報・連・相なしに勝手に決めてしまう、協調性が全くない、彼(彼女)のせいで同僚がボロボロと辞めてしまった、といった場合です。
ただし、こういったことは程度の問題なので、本当に解雇するにはかなりハードルが高いといえます。一般人100人のうち99人が「解雇もやむなし」と判断するような事案でも、裁判になったら解雇無効と判断されるかもしれないくらいのイメージでしょうか。
解雇は労働契約上の極刑と言われます。それは、生活を支える収入源が突然なくなるからなのですが、引き続き問題になるのは、その後の就職が非常に厳しくなるということです。つまり、解雇を言い渡すのはその人の社会人としての人生を閉ざすことにもなりかねません。ということで、裁判になると、解雇無効と判断されることが多いのです。
就業規則には、解雇(種類、定義、事由、手続き)の規定をきちんと定めておく必要はありますが、運用面では解雇はできるだけ避けて、穏便に退職してもらう(強引に退職させられたという印象をもたれるのはダメ)というのが現実的な対応だと思います。