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コラム

医療機関での職員募集

こんにちは。江東区 のたつみ社会保険労務士事務所の社労士、水本智です。

病院・診療所と職員の労働関係は募集・採用から始まります。誰を採用するかは本来、病院・診療所の自由ですが、労働関係法では一定のルールが定められています。

新聞、雑誌その他の刊行物の広告などで募集する場合には、業務内容、賃金、労働時間、その他の労働条件等について、虚偽あるいは誇大にならないように、また、誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等、的確に表示するよう努めることとされています(職業安定法42条)。

病院・診療所の医師の採用方式として、大学の医局からの派遣と呼ばれる方式があります。この方式には、職業安定法上の疑義があるとされています。例えば、大学病院に勤務する(していた)医師を関連病院に紹介する場合、その医師の自由な意思に基づいて病院を移るなら問題ありませんが、医局長等からの指示・命令によって関連病院に移されるなら労働者供給事業に該当する恐れがあります。

労働者供給事業というのは、自分の統制下にある人を他人の指揮・命令の下で使用させる事業です。昔、立場の弱い労働者がどこかで集められ、集団でどこかに連れて行かれ、そこで強制的に肉体労働をさせられたという歴史があります。医局からの派遣は業界の採用方式としては都合のよい面もあるのでしょうが、図式的に労働者供給事業に似ているため、個別具体的な事実関係に即して総合的に判断されるようです。つまり、役所にどう判断されるかは分からないということです。

労働者供給事業は職業安定法で禁止されています。罰則は1年以下の懲役、100万円以下の罰金で、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段を伴った場合には、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金ということになっています。

いずれにせよ、労働関係法は立場の弱い労働者を守ることを趣旨としていますから、言っていない、聞いていない、書いていなかった等の原因で入局者とトラブルになった場合、正当性を証明しなければならないのは医療機関側になります。労働者側の主張を跳ね返せるだけの根拠や証拠をきちんと残しながら労務管理を進めなければならないゆえんです。

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