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コラム

医療機関の労務 適用除外

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

病院・診療所の職員の中には労働時間、休憩、休日についての労働基準法の規制が適用されない人がいます。つまり、残業や休日出勤について割増賃金が出ないような以下の人たちです。

① 管理監督の地位にある人
② 機密の事務を取り扱う人
③ 監視・断続的労働に従事する人

まず、管理監督者についてみてみましょう。病院には、院長、副院長、診療部長、看護部長、栄養部長、事務部長、医長、技師長、病棟師長、外来師長など様々な職位があります。これらの人たちが必ずしも全員管理監督者であるとは限りません。肩書きでは判断できないのです。その基準は以下の通りです。

① 労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ないような重要な職務内容であること。つまり、経営者に近いレベルの内容の仕事をしている人です。

② 経営者から重要な責任と権限を委ねられていること。これも、経営全体に関わるようなレベルの責任と権限です。

③ 常に経営上の判断や対応が要求される立場であるため、労務管理されるには馴染まないこと。

④ 基本給、役付手当、賞与など、その地位にふさわしい待遇がなされていること。

ですから、少なくとも、いわゆる中間管理職と呼ばれるような人は管理監督者ではありませんね。

次に、機密の事務を取り扱う人ですが、簡単に言ってしまうと、秘書です。つまり、経営者や管理監督者にくっついて活動するのが仕事ですから、時間管理に馴染まないということです。

最後に監視・断続的労働に従事する人ですが、これも簡単に言ってしまうと、仕事中なのか休んでいるのか分からない、あるいは大半が待ち時間で、作業時間が長く続かない、身体的疲労や精神的緊張感の少ない仕事の人です。言い換えると、労働基準法で守ってあげなくても大丈夫な仕事内容の人です。もしかしたら該当するかもしれないのは、名ばかりの守衛さん、職員寮の寮母さん、院長付きの運転手さんあたりでしょうか。失礼があったらごめんなさい。

ただし、これに該当するかどうかは労働基準監督署の判断になります。具体的には、病院から「監視断続的労働に従事する者に対する適用除外許可申請書」という書類を監督署に出して許可をもらわなければなりません。

問題になるのは、宿直・日直勤務がこの断続的労働に該当するかどうかということです。該当すれば時間外や休日労働に対する割増賃金が発生しないことになります。経営的には該当してほしいところでしょうが、病院の宿日直勤務は事情が異なります。この件については別の機会に見てみることにしましょう。

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