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コラム

医療機関の労務 採用

雇用主となる病院・診療所が誰を採用し、誰を採用しないかは民法上の「契約締結の自由」として原則的に認められています。しかし、こうした民法の原則を貫いて求人・求職の方法等を市場ルールに任せてしまうと、立場の弱い労働者に仕事をあっせんする代わりにその労働者の賃金の一部を中間搾取(ピンハネ)するなどの弊害が起こり得ます。そこで法律によってその採用についていくつかの制約を加えています。

男女雇用機会均等法という法律があります。そこでは「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」としています。具体的に禁止していることは次のようなことです。

① 募集・採用の対象を男性のみあるいは女性のみとすること
② 募集・採用の条件を男女で異なるものにすること
③ 採用選考の方法や基準を男女で異なるものにすること
④ 募集・採用の際に男女いずれかを優先すること
⑤ 求人内容の説明等情報の取り扱いを男女で異なるものにすること

また、性別以外の要件であっても間接的に差別しているとみられるものも禁止されています。具体的には次のようなことです。

① 募集・採用の要件として、身長、体重または体力を挙げること
② 総合職の募集・採用の要件として、転居を伴う転勤に応じることを挙げること

また、雇用対策法という法律でも規制がかかっていて、そこでは労働者の募集及び採用の際には原則として年齢を不問としなければならないと定めています。ただし、さすがにこれには例外があって、以下については年齢を要件にしてもよいことになっています。

① 定年制度がある場合
② 法律によって年齢制限がある場合
③ 長く勤めてキャリアを積まないといけない職種なために若い人を対象にすること
④ 技能・ノウハウを継承していきたい職種で特定の年齢層が不足している場合
⑤ 国の政策として60歳以上または特定の年齢層の雇用を促進する制度を使う場合

従来は男の職場とみられていたところに女性が進出してきたという感じはありますね。例えば大型トラックやタクシーの運転手さんといえば、かつては男性の仕事というイメージがありましたが、最近は女性のドライバーも見かけるようになりました。逆もまたありで、男性の看護師さんや保父さんもよく見かけるようになりました。求職者にとっては職業選択の範囲が広がったといえますし、一つの職業のあり方や仕事の質も変化し、柔軟になってきたのかなと思います。

年齢についても幅広く採用が広がっていくのは間違いありません。社会的に高齢化が進んでいるということは高齢者のサービス需要が増えているということであって、サービスの開発者も提供者も高齢者の方がふさわしいということが言えると思います。

経営者の方は老若男女いろんな人を生かす工夫をすることで、新しい需要を引き出したり、サービスの質を向上させたりすることができると思います。知恵の出しどころですね。

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