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コラム

医療機関の労務 内定取り消し

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

労働契約が成立したかどうかはっきりしないケースの一つに採用内定があります。

採用には中途採用もあれば新卒採用もあります。

中途採用の場合には、即戦力としての採用が多く、採用後すぐに他の職員と同じように働くことが多いため労働契約の成立について疑問を持つことは少ないでしょう。

しかし、事務職などで新卒者を採用する場合、一般的に採用内定という段階を踏むことになります。すなわち、10月1日に採用を内定しても、その時点ではまだ学生であって働くことはできませんから、正式な採用は翌年学校を卒業した後の4月1日からということになります。

採用内定については学説的にも様々な考え方がありますが、判例では、①会社が内定を通知し、②労働者が誓約書を提出することによって、③労働契約が成立するとしています。

ただし③には制約があります。それは、正式採用の4月1日までに採用の条件である資格を取得できなかったり、単位不足などで学校を卒業できなかったり、あるいは病気やけがによって正常な勤務ができなくなった場合には、採用を取りやめることができるというものです。

なお、労働契約はすでに成立していますので、採用する側の事情によって内定を取り消す場合には、1日も働いていなくとも、法律上は「解雇」として取り扱われることとなり、相当な理由が必要となります。

相当な理由というのは、例えば、その人を採用してしまうと病院がつぶれてしまうような切迫した状態だったら当てはまるかもしれません。が、それを証明する経営データを揃えて客観的に説明できなければなりませんから、漠然とした危機感だけで取り消しというわけにはいきません。

また、新規学卒者の採用内定を取り消し、あるいは撤回する場合などには、公共職業安定所長等に通知することが義務付けられています。

庶民的な感覚で言ってしまうと、内定取り消しはできないと思っていた方がいいと思います。内定イコール採用、内定取り消しイコール解雇です。解雇はちょっとやそっとではできません。解雇に踏み切る努力をするより、それを避ける方策を考えた方がよほど建設的で現実的です。

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