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コラム

医療機関の労務 退職と解雇

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

「退職」には、経営者と職員との間の合意による労働契約の解約である「合意退職」、労働契約に期間の定めがある場合(有期労働契約といいます)の期間満了による「雇い止め」、職員側からの一方的な解約である「任意退職」、経営者側からの一方的な解約である「解雇」、定年に到達したことによる「定年退職」などがあります。

一般的には、職員側からの申し出による労働契約の終了を「退職」ということが多いと思いますが、法律によって用語の定義づけや使い方が厳密に定められているわけではありません。

例えば、自己都合退職の場合に退職届をいつまでに出すかとかいう場合も、労働基準法では何も定めていません。

しかし、民法では、労働契約期間に定めがない場合は2週間前に辞めると言えばそれでいいといっています。

経営者としては、急に辞めると言われ、その後2週間を全部有休に使われては引継ぎも何もできません。就業規則には、退職希望日の2か月前までに退職の意思を所属長に申し出なければならない、とか、退職希望日までに後任者への引継ぎを完了させなければならない、といった規定を入れておき、これに違反した場合は退職金の全部または一部を支給しないことがある、といった文言も入れておくと、ブチ切れ退職の抑止力にはなると思います。

一方、経営者側からの申し出による労働契約解除を「解雇」と呼びます。この解雇については、労働基準法上、細かく規制されています。また、労使間での紛争に発展する可能性が退職に比べて極めて高く、経営者としては解雇する際には十分に注意しなければなりません。

解雇には以下のような形態があります。

① 普通解雇

主に職員側の理由、例えば、病気で働けない、業務遂行能力が著しく不足しているなどの理由で辞めてもらいたいということです。ちゃんと働くという約束だったのに働かないではないか。契約違反だ。というわけです。

② 懲戒解雇

懲戒処分の一種で、 例えば、重大な経歴詐称があった、患者に暴行しケガを負わせたなどの理由です。会社を裏切った。会社の名誉を著しく傷つけた。だから会社にはこれ以上置いておけない。というパターンです。退職金を支給しない、あるいは減額するケースもあります。

③ 整理解雇

事業所閉鎖や人員削減などのため、働いてもらう場所がなくなったという場合です。働いてもらうと言っておいて、働かすことができなくなったということですから、会社側の契約違反と考えることができます。①の逆のパターンで、これも普通解雇の一種と言えます。

いずれにしても、解雇は、労働者にとってはいきなり生活が窮地に追い込まれる話です。そう簡単にやられては堪りません。

というわけで、解雇は簡単にはできないことになっています。

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