医療機関の労務 採用時に明示する労働条件
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
労働基準法では「使用者が、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。
病院・診療所の場合には、勤務時間が職種によって異なったり、賃金も基本給以外に救急センター業務手当、手術室業務手当など特殊な手当もあったりして、労働条件が複雑なケースも見受けられます。それだけに、採用時にきちんと労働条件を示しておくことが後のトラブルの予防になります。
明示すべき労働条件の具体的な内容は、全部で14項目あります。このうち、最も基本的な労働条件である以下の①~⑥の項目については、書面にして明示しなければならないことになっています。厚生労働省で作成した「労働条件通知書」などを参考にして自院バージョンを用意しておくとよいと思います。
① 労働契約の期間
② 就業の場所、業務の内容
③ 始終業の時刻、残業の有無、休憩時間・休日・休暇、シフト制
④ 賃金の計算、支払い日など
⑤ 定年制、継続雇用制、解雇など
⑥ 昇給
そして、以下の⑦~⑭の項目については、これらのルールがあれば明示しなければならないとされています。
⑦ 退職金
⑧ 賞与など
⑨ 労働者が負担する食費、作業用品など
⑩ 安全衛生
⑪ 職業訓練
⑫ 災害補償など
⑬ 表彰、制裁
⑭ 休職
ところで、これら明示された労働条件が実際と異なることがあります。こうした場合には、労働者側からは即時・無条件で労働契約を解約できます。そして、その人が就職するために引っ越してきた人で、14日以内に元いたところに戻る場合などには、そのために必要な旅費、運送費などを病院側が負担しなければならないことになっています。