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コラム

医療機関の労務 パワハラ①

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

最近よく耳にするようになった「パワー・ハラスメント(パワハラ)」は、一般的には、職場の上司などが部下などに、その地位や職権を利用していじめや嫌がらせをすることで人権を侵害する、あるいは働く環境を悪化させることをいいます。

パワハラが発生すると、被害を受けた職員は精神的苦痛のために心の健康(メンタルヘルス)を損ないます。さらに、その部署あるいは病院・診療所の職員のモチベーションが全体として低下し、それぞれが能力を十分に発揮できない、ひいては医療サービスの質が低下するといった事態に陥ってしまいます。

また、病院・診療所は、職員を雇った以上、安全(健康)配慮義務や職場環境を整備する義務を負うことになりますが、この義務に反したとして訴訟を提起されるリスクも高くなります。現にパワハラを原因とするうつ病などの精神障害が労災として認定されるケースも発生しています。

では、具体的にどのような行為がパワハラとなるのでしょうか。この線を超えたらパワハラというはっきりした境目が存在するわけではありませんので、実際に、パワハラに当たるか否かの判断には難しいものがあります。

例えば、「お前はバカか」、「お前は全然仕事ができないな」といった言動が、教育的見地からの叱咤激励によるものなのか、いじめ・嫌がらせの目的があってのものなのか、判断が分かれるところです。加えて、そうした言動を受け止める部下の性格や気質にも大きく個人差があります。

パワハラに当たる可能性が高い言動の例を挙げてみましょう。

① 職場で、ことあるごとに、「役立たず」、「能無し」、「辞めちまえ」などと頭ごなしの罵倒され、その精神的苦痛のために仕事が手につかなくなり、うつ状態に陥る場合

② 「お前は給料泥棒か」などと上司が部下を叱責しているうちに、部下を殴る、蹴るなどの暴力に及ぶ場合

③ 客観的に実現できないような仕事やノルマを課し、達成できないからといって「お前はクズだ」などと執拗に暴言を吐く場合

④ 挨拶してきてもその職員だけ無視し、嫌がらせの目的で仕事を全く与えないで、指示を仰いできても無視し続ける場合

⑤ 上司が仕事と無関係の私的な雑用を命じたり、業務時間外・休日に私用で急に呼び出し、断ると暴言、暴力に及ぶような場合

パワハラ防止やパワハラ事案への対応は、セクハラ対策に準じて策を講じることが重要です。ポイントとして3つ挙げてみます。

① 管理職研修などで、パワハラがないような職場風土づくり、職場の把握・管理について教育する=危ないのは管理職以上の人ですから、管理職を対象にした研修が重要です

② 相談窓口を作り、苦情を処理する体制を整える=社内に相談するところがないと、監督署などに相談に行かれ、トラブルが外部化してしまいやすくなります

③ 相談したことで事態を悪化させないように、当事者、関係者のプライバシーに十分配慮する=働く意欲を失った人は本当に困った存在になってしまいます

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