就業規則 適用範囲
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
前回は職員の定義について考えてみました。定義づけをした上で、この就業規則は正規の職員に適用されるものです、と適用対象をはっきりさせるわけです。
適用範囲で一つの条項を立てるか、職員の定義づけの条項で「この就業規則でいう職員とはこうこうこういう人で、パート、臨時、嘱託等については別に定める規則によります」という書き方にしても、それは構いません。
ただし、「別に定める」といっておいて後回しにしたまま放ったらかしという話もよく聞きますので、パートタイマー就業規則とか臨時職員就業規則とかは、それぞれちゃんと作りましょう。
要はその病院で働く人がもれなく、どれかのカテゴリーに該当することが分かり、それに応じた規則がきちんと用意されればよいのです。
ところで、前回はリスク回避や働く側の意欲やチームとしての結束力といった側面から職員を区分けする効果を考えましたが、もう一つ経営上大切なことがありますのでそれをお話ししましょう。
正規職員は、嫌な顔をするかもしれませんが、必要に応じて残業もするし、異動もあるし、多少の無理も聞いて仕事します。それは、雇用が保障されていて、給料も月給制とかで安定しているし、賞与や退職金制度もあったりしますし、福利厚生もそこそこ用意されていたりするからでしょう。
一方、正規職員でない人たちは、正規に比べて、労働時間が短かったり、業務の守備範囲が狭かったり、権限や責任が小さかったりします。また、職務上の違いだけでなく、休職制度なし、特別休暇なし、慶弔見舞金なし、退職金なし、スキルアップのための教育研修は受けられない、福利厚生は一部だけ、など処遇面で大きな差がつけられます。所定労働時間が一定未満であれば雇用保険の加入もなし、厚生年金、健康保険の加入もなしです。そして決定的な違いは、そのうち辞めることが予定されているということですね。
何が言いたいかというと、職員の立場をきちんと区切って、それに応じた適正な規程を作って、きっちり運用すれば、みな納得ずくで働くことになり、想定外の出費が抑えられます。総人件費を計画的にコントロールできることにもなりますね。