就業規則 給与の支払い方法
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
労働基準法に書いてある、給与の支払いルールには「直接労働者に渡す」というのがあります。
これは例えば、家族が代理で受け取りに来ても、委任状を持った弁護士が受け取りに来ても、会社としては渡してはいけないということです。
厳密には「直接」というのは「手渡しで」という意味で、「労働者に」というのは「本人に」という意味です。
現在では多くの会社が銀行などにある本人名義の口座に振り込む形を取っていますが、これは正確には直接労働者に渡しているとは言えません。
しかし、現実的な方法で確実ならいいじゃないかということで、労働者の同意を得た場合にはその労働者が指定した金融機関の本人の預金(貯金)に振り込むのもOKということにしたのです。労働基準法施行規則に書いてあります。
ということで、給与の振込には本来同意が必要なのです。
実際には、給与の振込口座を教えてくださいと会社から言われて、はいこれですと教えるのが普通かなと思いますが、この手続きイコール同意したことになるのです。
ところで就業規則には、賃金の支払い方法として金融機関の本人名義の口座に振り込むと書いてあるところが多いと思います。
私からの提案としては、それとともに、原則通り、直接手渡しもありうることを書いておくとよいと思います。
退職する職員の中には健康保険証や制服などの貸与物を返さないで最終出勤日を迎える人がたまにいます。こういう場合、あとで催促しても返って来ず、それっきりということが多いと思います。
そんなとき、最後の給与や退職金の支払いを手渡しにして、来社時に返却物を持ってきてもらえるようにするのです。
また、もし職員にお金を貸していた場合には、給与や退職金を手渡したその場で返済してもらうということもできるでしょう。
返済金を天引きして残額を振り込むのは、全額払いのルールに違反するので、できません。そういうことを考えると、原則通りの支払い方にもちゃんと効能があるのだと思います。