就業規則 退職者の義務
職員に貸与していた物は退職の日までに返却してもらわなければなりません。辞める人にとって会社からの貸与物は不要なだけでなく、悪用される原因になりかねません。どこかで悪用されたら追及が難しくなりますので、退職時にきっちりと返してもらう規定を作っておきましょう。
就業規則に一般的にみられるのは、「貸与物は退職の日までに全て返却しなければならない」という簡潔な一文ですが、できる限り具体的に返却物を列挙して、最後に押さえ残しのないように「その他会社から貸与されたもの」と締めくくるのがよいと思います。
貸与物として押さえておきたいものは、健康保険証、職員証、玄関やロッカーの鍵、病院名入りの名刺、制服、病院のマークやロゴの入った徽章、パソコン、携帯電話などでしょうか。
鍵などは当然ですが、健康保険証は身分証明として使われる場合がありますから、後で金銭的な事件に関係してしまう危険性も否定できません。制服などもオークションに出品されたりすると、その後どこで何に使われるか分かりません。
なお、健康保険証を回収することができなかった場合には「健康保険証回収不能届」という書式がありますから、加入している協会けんぽまたは健保組合に提出しましょう。
目に見える物はそんなところでよいと思いますが、情報やソフトウェアは返却といっても難しいものがあります。ですから、「退職後の情報の取り扱いに関する誓約書」といったような書面を提出してもらって、情報漏えいのないように手を打っておきましょう。
業種によっては情報アクセス規程を別途作成して、在職中の情報管理を徹底しているところもあります。退職が決まったとたんに社内ネットワークにアクセスできないようにするところもあり、さらに厳しいところでは自席にすら座らせない会社もあるようです。
例えば医療機関などでは、患者の個人情報をはじめ、一般の人には扱えない薬物や放射線を管理する情報も行き来します。念入りに規定を整備しておくことをお勧めします。