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コラム

就業規則 災害補償

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

従業員が仕事中に災害に遭った場合には、労働基準法において、会社が補償責任を負うことになります。

これは例えば、設備の欠陥を放置していたというような、会社に落ち度がある場合だけでなく、会社に過失がない場合でも同じです。

なぜかというと、会社は従業員を雇って利益を上げており、その過程で生じた災害に関しては会社が全責任を負うべきであるという考え方だからです。

万が一、事故が起きて命に係わる犠牲者が出てしまったら補償額は億単位に上り、会社は一発倒産に追い込まれかねません。

そこで、労災保険という強制保険制度を国が作って、会社の災害補償責任を肩代わりする仕組みが設けられています。

では、労災保険があるのだから会社は他に備えがなくてもよいかというと、そうではありません。

労災事故が起きて労災保険の手続きを行ったとしても、精神的損害は労災保険の対象外のため慰謝料などについては別途損害賠償請求の対象になります。

つまり、労災事故が起きると、会社は常に損害賠償請求という訴訟を起こされるリスクを負うということです。

これをカバーするのが労災上乗補償で、民間の損害保険会社などが扱っています。

会社にしてみれば、労災上乗補償金を支給したらそれでおしまいにしてもらって、別途、追加的に損害賠償請求などしてほしくないわけです。

なので、就業規則には、従業員またはその遺族が労災上乗補償金を受け取る場合は会社に対して他に一切請求しないこと、民事損害賠償請求権を放棄する旨の文書を提出することを規定しておきます。

もちろん、その文書を出さない場合は労災上乗補償金は支給しないことも書いておきます。

ただ、個人的に思うのは、これは会社を守るためのリスク回避の規定であって、これを盾にして罹災者に何も言わせないという態度になってしまってはいけないと思います。会社の責任は厳然としてあるわけですから、罹災者には誠実に謙虚に向き合わないといけません。

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