雇用保険 保険料は労使折半ではありません
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
サラリーマンの方は、給与明細を見ると社会保険料が天引きされていることが分かるように書かれているので、何かしら保険料を払っている自覚がおありかと思います。
ただ、その内訳、つまり厚生年金保険料がいくらで健康保険料がいくらで雇用保険料がいくらなのか、また、事業主の方はいくら負担しているのか、といったことまで分かるようにはなっていませんし、そこまで気にしていない方も多いのではないかと思います。
負担の割合については、漠然と、労使折半だと思っている人が多いと思いますがいかがでしょう。
確かに厚生年金保険料と健康保険料は労使折半なのですが、雇用保険料は労使折半ではありません。
雇用保険の保険料率には3種類あって「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」に分かれるのですが、ここでは「一般の事業」を取り上げます。
保険料は、事業主が社員(被保険者)の給与から天引きする形で被保険者負担分を預かり、事業主負担分と合わせて国に納めます。
で、その天引き分が賃金の0.5%で、失業したときの給付(基本手当とか再就職手当とか傷病手当とか)に使われます。
事業主が負担する保険料は2つに分けられます。
一つは、雇用保険の被保険者である労働者の賃金総額の0.5%で、労働者が失業したときの給付に使われる分です。この部分だけを見ると労使折半といわれる訳が分かりますね。
でも、二つ目として、事業主だけが負担する分があります。
それが、雇用保険二事業分というもので、雇用保険の被保険者である労働者の賃金総額の0.35%を納めることになっています。
その二事業とは何かというと、「雇用安定事業」と「能力開発事業」です。
雇用安定事業では、雇用の促進に関して、主に事業主に対する助成金や奨励金に使われます。雇用調整助成金とか、トライアル雇用奨励金とかです。
能力開発事業は、職業訓練に関して、施設を作ったり、その運営費用を補助したり、技能検定にかかる経費の補助を行ったりします。
ということで、数字を整理すると、被保険者負担が0.5%、事業主負担が0.85%、合計で1.35%が雇用保険料率で、そのお金をまとめて事業主が国に納めているのです。