雇用保険 傷病手当
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
失業というのは働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態をいいます。
会社を辞めて失業した人がハローワークに行って雇用保険のいわゆる失業手当(正式には基本手当)をもらう手続きをした後、大きなケガをしたり、重い病気にかかったりして、暫くの間、働く能力を失った場合、どうなるのでしょうか。
働く能力がない状態は失業とはみなされませんから、基本手当をもらう資格を失うことになります。
そうすると、基本手当はストップされるでしょうか。
理屈はそうなりますが、それではかわいそうですね。
基本手当の目的は失業中の生活保障ですが、それはケガや病気で仕事ができなくなった期間の生活保障と考えてもいいのではないでしょうか。
ということで、雇用保険からは基本手当に代わって傷病手当という給付が行われます。
実際に何が違ってくるかというと、実は基本手当と変わりません。
金額も同じですし、支給された日数分、基本手当の給付日数が減ります。
つまり、手当の名前が切り替わるだけです。
ただし、当然ですが、傷病手当には傷病手当の受給要件があり、需給のための手続きも別途必要です。
基本手当を受給中に病気またはケガで15日以上職業に就くことができない場合に傷病手当の受給対象になります。
本人が動けない状態ですから、指定された失業の認定日にはハローワークに行けないことが十分に考えられますね。
なので、治ったら(働ける体になったら)受給資格者証を持ってハローワークに行きます。
そして「傷病手当支給申請書」という書類を書いて提出し、傷病の認定を受けます。
ここまでの流れをおさらいすると、まず失業してハローワークに行って求職の申し込みをして受給資格者になって基本手当をもらい始めて、動けなくなって15日以上経って治ってハローワークに行って傷病の認定を受けて初めて「傷病手当」です。
初めから動けない人が傷病手当をもらうためにハローワークに行くということはありません。そういう人は初めから失業者ではありませんから雇用保険の守備範囲ではないのです。
そういう場合、働けなくなった原因や事情によっては、別の制度(健康保険の傷病手当金とか、労働基準法の休業補償とか)で生活保障が受けられるかもしれませんから、そのときは関係先に聞いてみるとよいと思います。