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コラム

雇用保険 A社を退職直後に就職したB社を退職した場合の失業給付

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

A社に20年勤めて定年退職した人が知人の紹介で間髪入れずにB社に再就職しました。ところがそのB社が急激に経営不振に陥り、7か月で整理解雇されることになってしまいました。さて、この人の失業給付はどうなるでしょうか。

雇用保険において、失業中に支給されるいわゆる失業手当は、正式には「基本手当」といいます。

この基本手当が支給される期間のことを「所定給付日数」といいます。

この所定給付日数は雇用保険の被保険者であった期間によって長さが違います。

長く勤めた人は長くもらえるし、短かった人は短いということです。例えば、自己都合で退職した人なら、辞めるまでの被保険者期間が10年未満で所定給付日数90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日となっています。辞めたときの年齢は関係ありません(でも65歳未満です)。

でも、例に挙げた人のように、7か月勤めたB社を解雇されて失業した場合、離職証明書はB社から出るし、それを元に作った離職票を持って公共職業安定所に行って受給資格が決定されるわけです。

そうすると、ご本人にしてみれば、A社での20年間は所定給付日数に反映されないのではないか、天引きされ続けた保険料は掛け捨てになったのではないか、という不安を持たれるかもしれません。

が、そうはなりません。A社に勤務した20年間は所定給付日数に反映されます。

ポイントは2つ。

一つ目は、A社を退職してからB社に就職するまで、つまり被保険者でなかった期間が短いので、A社とB社は通算されるということです。

規定では、1年以内のブランクなら前後の「被保険者であった期間」は通算されることになっています。

二つ目は、A社に勤めた20年間をもとにして、受給資格を取得していないことです。

これは、A社を退職して失業し基本手当をもらったかどうかということではなく、受給資格を得た、つまり、職安に行って求職の申し込みをしたら、その時点で、A社で保険料を20年払った分の権利は使ってしまったことになるのです。この場合はB社に就職して「再就職手当」をもらえばいいんですね。

ということで、例に挙げた人は2つのポイントをクリアしているので20年以上のレベルで所定給付日数支給されることになります。

さて、別の観点からもう一つ。

この人はB社を解雇されました。自分が悪いことをして懲戒解雇されたわけではありません。整理解雇です。

解雇された人は「特定受給資格者」といって、特別に所定給付日数が設定されています。

上記の90、120、150という日数は、特別な事情がなく会社を辞めた人の所定給付日数です。

特定受給資格者に入る人は大まかにいうと以下のような事情のある人です。

①事業所の倒産、廃止によって離職した
②事業所の移転によって通勤が困難になって離職した
③雇用契約の内容と事実が全然違ったので離職した
④賃金の低下、一部不払いなどがあって離職した
⑤長時間残業がひどかったり、危険・健康障害防止措置がとられていないために離職した
⑥セクハラとかパワハラが原因で離職した
⑦事業主から退職勧告を受けたので離職した
⑧事業所の業務が法令違反していたので離職した

などです。簡単にいうと、気の毒な事情で辞めた人です。

こういう人の場合は、年齢層、被保険者であった期間によって細かく所定給付日数が決められています。

例に挙げた人が例えばB社離職時に45歳だったら、所定給付日数は330日になります。

ちなみに、この場合、所定給付日数が1年に近い期間なので、最初に職安に行く日が遅かったら受給期間(受給の有効期間みたいなもの=1年間)をオーバーしてしまい、330日目までもらえなくなる可能性も出てきます。なので、受給期間は特別に1年+30日ということになっています。

離職理由の判定は職安が行いますから、自分が特定受給資格者に入るのではないかと思われるときには、客観的資料というか、離職理由を裏付けるもの(解雇通知書とか)を手に入れておくとよいと思います。

なお、特定受給資格者のほかに「特定理由離職者」というカテゴリーもありますので、気の毒な辞め方だった人は職安や専門家に聞いてみるといいかもしれません。

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