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コラム

医療機関の労務 ヒューマンエラーの防止と安全衛生

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

病院・診療所の医療現場では多くの医療器材を使いますが、経験と勘に頼る手作業も数多くあります。そのちょっとした誤りが患者及び医療従事者を大きな危険にさらすことがあります。このため、ヒューマンエラーをいかに防ぐかは、医療機関の安全衛生活動にとって非常に大きな意味を持ちます。

医療現場における安全についてよく知られたお話があります。1つの重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背後には、傷害には至らない330もの事故があるというものです。こうした見えないアクシデントは「ヒヤリハット事故」と呼ばれています。

医療現場で「ヒヤリ」としたことや「ハット」したことを経験していない人はおそらくいないでしょう。これらの経験は災害防止策を考える際のアイデアの宝庫と考えられています。ヒヤリ、ハットだけで終わらせず、その原因を見つけ、対策を立て、二度と繰り返さない方法を編み出すことが重大事故の芽を摘む秘訣となります。

医療現場には、例えば次のような危険因子がたくさん潜んでいます。
① 採血時などの針刺し事故
② 医療廃棄物を扱う際に保護手袋を使わないなどの不適切な作業
③ カルテや処方箋等の記載ミス
④ 申し送りミス
⑤ 検体などの採り違い
⑥ 病理検査室でのホルムアルデヒド曝露、薬剤部での抗がん剤曝露
などなど

こうした危険因子が顕在化するのを防ぐには、工場などの製造現場ではすでに常識になりつつある以下のしくみ作りと周知、実践、検証、改善の循環が大切になります。
① 作業のマニュアル化
② 声を出しての指差し確認
③ ダブルチェック
④ 責任体制の明確化
⑤ 部署内、部署相互のコミュニケーション活性化

医療機関は専門的な知識、技術を必要とする仕事の集合体であるため特有の有資格者が多く、自分以外の仕事には口出ししたがりません。結果、無関心を装うことが無難で賢い処世術であるかのような風潮が見られがちです。実はそこに落とし穴があり、防げたはずの医療事故が起こってしまうというわけです。

そうではなく、経営者は病院・診療所を一つの医療チームとしてまとめ、受付、診察、検査、処置、薬局、会計などを一繋がりのサービスとして完成させることが安心の医療につながるものと思います。

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