社会保険 算定基礎届
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
労働保険に年度更新があるように、社会保険にも年に一度の定例事務があります。
一般の会社を想定した場合、社会保険というと厚生年金保険(厚年)と健康保険(健保)のことを指します。
いずれも公的な保険で、厚年は老齢・障害・遺族年金、健保は医療についての保険です。
さて、「算定基礎届」とは何ぞやということですが、厚年と健保の保険料や保険給付額を決める元となる、会社員の給料の額を届け出る手続きです。
実は、厚年と健保の保険料を算出するしくみは似ていて、算定基礎届は1枚で厚年・健保の両方を賄っています。
ここで、保険料の算出方法を簡単に説明しておきましょう。
まず保険料率ですが、平成25年9月~平成26年8月分の厚年の料率は全国一律17.12%です。
また、健保は協会けんぽ(都道府県単位)、健保組合ごとにバラバラで、協会けんぽ(東京)でいうと9.97%(介護保険第2号被保険者に該当する人は11.52%)です。
いずれも負担は労使折半で、給料から天引きした分と同額の会社負担分とを合わせて、会社が厚年・健保にそれぞれ納付しています。
と、簡単に片づけられれば説明はこれで終わるのですが、実はちょっとした作業が入ります。
というのは、一人一人の給料の額を厚年では30等級、健保では47等級に分けているのです。
どういうことかというと、例えば厚年でいうと、月27万5千円の人も月28万5千円の人も「月28万円」とみなして計算するのです。
つまり、給料をいくらからいくらまでという範囲に区切って30等級に分け、それぞれの代表値(標準報酬月額といいます)30種類を保険料の計算に使うことにしているのです。
だから、計算結果としての保険料額も、厚年では30種類しかありません。健保は47種類です。
事務処理的には最初にひと手間かかりますが、それ以降の計算作業が単純化されるので、効率的にはよいしくみではないでしょうか。
この厚年30種類、健保47種類の標準報酬月額を届け出るのが算定基礎届です。
届書には、社員一人一人の名前を入れ、その人の4・5・6月の報酬月額(給料)とその合計額、1か月平均額、その額が属する等級の標準報酬月額を記入していきます。
協会けんぽ加入の会社の場合は、事前に算定基礎届配布依頼書というのを所轄の年金事務所に出しておくと、社員名などが印字された算定基礎届の用紙が送られてきますから、それに新しい情報を記入して完成させることになります。
届け先は、協会けんぽの会社なら年金事務所、健保組合に加入している会社なら健保組合に提出します。厚生年金基金に出すところもあります。
提出は原則として郵送となっていて7月1日から7月10日までに提出してくださいと言われます。
ただし、昨年度から4年がかりで全適用事業所の調査を行うということになっていて、毎年全適用事業所の4分の1が所轄の年金事務所に呼び出されて直々にチェックされます。
届け出た金額は向こう1年間使われます。途中で昇給したりして給与水準が大きく変わった場合には報酬月額変更届という書類を提出して適正な保険料に変える手続きを踏みます。