就業規則 休職事由
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
休職というのは、なんらかの事情で勤務できなくなった職員に対して、職員としての身分を継続しながら、一定の期間、仕事をしなくてもいいよ、できる状態になったら復帰してくださいと言ってあげる制度です。
労働基準法の中には休職についての規定はありません。休職の制度は敢えて設けなくても構わない規定です。でも、実際には多くの会社に休職の規定があります。なぜでしょう。
長年会社に貢献してきた職員が何らかの原因で働けなくなった場合、仕事ができないなら労働契約が成立しないのだから辞めてもらいますよ、というドライな判断が簡単にできないからですよね。それは経営者と職員との信頼関係の表れでもあり、トラブルを防ぐために必要な猶予期間という見方もできるでしょう。
さて、その休職の事由ですが、これが多ければ多いほど職員にとって有利な制度と言えるでしょう。ここでは、少なくともこんな事由で休職させなくてもいいだろうというものをいくつか挙げてみたいと思います。
まず、刑事起訴されて長期間休む人。
逮捕されてからの拘留期間は最長で23日あります。この間、出勤しません。おそらく有休を消化するでしょう。
続いて起訴されると1回目の裁判まで1か月とか2か月かかりますから、有休は使い切ります。
起訴されて休職できる規定があれば、この頃から休職期間に入ります。
が、そんな規定がなければ欠勤が続くことになりますから、懲戒事由に当たることになるでしょう。これで辞めてもらいやすくなります。
次に、公職に就いた人。
市区町村の議員などになった場合、そちらの方が忙しくなって、職員としての仕事などしていられないでしょう。まあ2年くらい出勤できません。その間、職員の立場を維持しておくメリットはないと思います。地域住民のために全力で議員活動に専念していただければよろしいのではないでしょうか。
所属する事業場で労働しないのは労働契約に違反することになりますから、理屈上は辞めてもらえるはずです。普通解雇できるはずです。公職に就いたから解雇というのはいかにも難しそうですが、個別に判断される事案でしょうね。
でも、公職就任で休職という規定はない方がいいということは言えます。
もう一つ。業務上のケガや病気で休む人。
業務上のケガや病気で休む人は、労働基準法でしっかり保護されていて、その休んでいる期間プラスその後の30日間は解雇できないことになっています。
つまり、初めから復職することが予定されている立場ですから、休職事由として規定しても意味がありません。だから規定しません。