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コラム

医療機関の労務 変形労働時間制

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

病院全体の半数以上が採用している変形労働時間制ですが、そのうちの7割が採用している「1年単位の変形労働時間制」についてみてみましょう。

1年単位の変形労働時間制は、一定期間(例えば、3か月、6か月、1年など)の1週当たりの平均労働時間が40時間以内なら、その期間内の特定の週には40時間を超えて労働させることができるというものです。

1年単位の変形労働時間制を採用するためには、以下の事項について労使協定を結ぶ必要があります。

① 誰が対象になるか
② 全体でいつからいつまでか
③ そのうち週40時間とか1日8時間を超える期間はいつか
④ 全体の期間における労働日・労働時間
⑤ 労使協定の有効期間

つまり上記の②について週平均40時間以内に収めるから、③の期間は週48時間とか1日10時間とかの仕事になりますよ、ということを院長と職員との間で了解しておいてくださいということです。

ただし、物事には限度というものがあります。例えば②が2か月間で週平均40時間以内になっていて、③の10日間だけ200時間労働などというのは、あってよいはずがありません。当然、制限があります。

① 連続する労働日数は6日まで
② 労働時間は1日10時間、週52時間まで
③ 週48時間を超える週が連続する場合、3週まで
④ 3か月で区切って見た場合、週48時間を超える週は3週まで

本当はもっと制限があるのですが、ごちゃごちゃしてくるので上記の4つだけ例として挙げました。

この制限を見ると、1日の労働時間の限度は②の通り10時間ですから、病棟看護部門での2交替制(12時間勤務)で1年単位の変形労働時間制を適用するのは無理ということになります。

そこで、この場合には、別の手を使います。

1年単位ではなく、「1か月単位」の変形労働時間制というのがあります。こちらでは制限内容が異なっていて1日12時間労働でもよいことになっています。全体の期間が短いために多少は無理がきくようになっているのです。

いずれにしても、変形労働時間制を採用するには就業規則も変更する必要があり、労使協定と合わせて労働基準監督署に届け出なければなりません。職員の労働条件が厳しくなる部分が発生することについては、きちんと了解を得ていなければならず、それはきちんと書面にしておいて、役所のチェックも入るようになっているということです。

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