医療機関の労務 解雇予告手続き
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
職員を解雇する場合には労働基準法に基づいた手続きを踏む必要があります。
① 少なくとも解雇日の30日前に本人に予告すること
または、
② 平均賃金の30日分以上の額の解雇予告手当を支払うこと
平均賃金というのは、簡単にいうと、直近3か月分の給料をその日数(91とか92とか)で割った金額です。ここでいう給料や賃金には賞与や見舞金などは入らず、3か月には産前産後の休業期間や試用期間は入りません。
上記の①と②は、どちらか一方でなければならないというわけではありません。解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができます。例えば、平均賃金の20日分の解雇予告手当を支払えば、解雇予告は解雇日の10日前までに行えばよいことになります。
また、解雇予告は口頭でも有効ということになっていますが、無用なトラブルを防ぐためにも、書面で、解雇日をはっきりさせて行うことが重要です。
次に、解雇予告が必要ないケースをみてみましょう。
① 天災その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
ただし、これには労働基準監督署長の認定が必要です。
② 職員の方に責任がある場合
ただし、これにも労働基準監督署長の認定が必要です。どんな場合かというと、
(1)事業場内で泥棒や傷害事件を起こした場合
(2)賭博など、職場規律を乱した場合
(3)看護師として採用したのに実は資格を持っていなかったという場合
(4)断りもなく他の病院に転職した場合
(5)2週間以上無断欠勤し、出勤するように何度言っても応じない場合
(6)出勤不良で、何度注意しても改めない場合
などです。
③ 解雇予告が必要ない場合が労働基準法に書いてあり、それに該当する場合
どんな場合かというと、
(1)契約期間が2か月以内
ただし、その契約が更新され、もっと長く働くことになった場合には解雇予告が必要になります。
(2)14日以内の試用期間中
試用期間中でも15日目以降は解雇予告が必要になります。
いちいち全部覚えておくこともないと思いますが、解雇には原則的に予告が必要だということと、労働基準監督署長の認定が必要な場合があることは知っておくとよいと思います。