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コラム

ブラック企業への取り組み強化

こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。

 

厚生労働省は8月8日、『若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化』というタイトルで報道発表しました。

 

若者を使い捨てにしている企業とは、若手社員を低賃金で長時間労働させている企業で、辞めたければいつでも辞めてくださいという態度で正に人を使い捨てにしている会社のことです。

 

就職難というご時世もあり、無茶な業務命令にも応えざるを得ない弱い立場の若手社員が我慢ギリギリまで搾り取られ、心身ともに疲弊して辞めていく姿がイメージされます。

 

そんなことで、そのようなことをする会社が「ブラック企業」と呼ばれるようになったのでしょう。

 

厚生労働省が強化する取り組みとは、長時間労働を抑えるために労働基準監督署が企業を監督指導する、相談窓口を作って労働者からよく話を聞く、パワハラの予防・解決のためにポータルサイト「あかるい職場応援団」で裁判例やしっかり取り組んでいる企業を紹介したり、ポスターやリーフレットを配ったり、セミナーを開いたりするといった内容です。

 

9月は「過重労働重点監督月間」と位置付け、全国で4000企業が調査され、必要に応じて指導されます。重大・悪質な違反があったところは書類送検され、企業名も公表されます。

 

調査される4000企業というのは、労働者から通報・相談があったところ、長時間労働が原因で過労死してしまった社員を出したところ、過労死でなくても脳や心臓の病気で労災請求が多く出されたところ、離職率が高いところ、などです。

 

確認されることは、36協定が正しく結ばれているか、その内容と社員の勤務事実にずれがないか、割増賃金が適正に支払われているか、健康診断は100%受診されているか、必要のある人には医師の面接や健康指導がされているか、といったことです。

 

事実確認には当然にタイムカードや賃金台帳などをチェックする必要があります。みなし残業代といったやり方で給与を支払っているところは当然に何時間分を残業代としてみなしているか、根拠を示す必要に迫られると思います。社員と交わしている個々の雇用契約書も確認される可能性があります。健診とその後の措置についてもきちんとなされているかは書類で調べられると思います。口頭の説明だけでは多分済まないのではないでしょうか。事業所の規模によっては衛生委員会の開催や産業医の選任が必要ですから、それにも言及されるでしょうね。

 

対象のほとんどは大企業だろうと考えるのは大きな間違いです。大企業は影響力が大きいので従来から監督指導の対象になっていて、今回改めて強化対象になるところは比較的少ないのではないかと言われています。むしろ実体が見えにくい、是正指導の手が届きにくい百~数百人規模の中小企業が対象の中心になるのではないでしょうか。

 

強化月間が終わったらそれでおしまいというわけはありません。指導を受けた企業は是正に向けて取り組んでいかなければなりませんし、数年は改善状況を注視されることになると思われます。また、労働基準監督署による長時間労働抑制、割増賃金の未払い解消、労働者の健康保持増進などについての企業への取り組みは引き続き強力に行われることに間違いありません。

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