就業規則 特別休暇
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
特別休暇は一般に慶弔時に与える休暇というイメージですが、労働基準法には特別休暇について何の規定もなく、会社として自由に決めてよいものです。「うちの会社には要らない」という考えであればなくてもよいし、有給でも無給でも構いません。
しかし、それだけに、曖昧な規定にしておくと後でトラブルになりやすいとも言えますから、制度を導入するなら、取得条件や手続きまで詳しく規定しておくべきでしょう。なお、休暇については就業規則の絶対的必要記載事項ですから、制度があるなら必ず就業規則に書かなければなりません。
さて、職員が10人もいないようなクリニックの場合でも、特別休暇はあった方がいいでしょうか、無用でしょうか。
私はあった方がよいと思います。
理由は、
①お祝いやお弔いは本人にとって(配偶者にとっても)特別なことで記憶に残りやすく、特別休暇がなかった場合、休みをくれなかった経営者(院長)に対する不満が長くくすぶるかもしれません。
②慶弔時には親戚が集まるものなので、職場のことも話題に上る可能性があります。特別休暇がなかった場合、不満話が親戚中に伝わり、「そんな病院辞めちゃいな」などと言われかねません。
③特別休暇自体、毎年頻繁に発生するものではなく、それほどのコスト負担にはなりません。
ということで、職員が特別な喜びや悲しみを噛みしめる期間を与えてもよいのではないかと思います。
では、有給か無給かという点はどうでしょう。
私は有給がよいと思います。
なぜかというと、無給にすると、本人からは「特別休暇は要らないから有給休暇をください」という申し出になるだけだからです。無給の特別休暇は本人にとって何のありがたみもありません。
例えば、以下のような規定でうまく運用していけるでしょうか。
第〇条 特別休暇
従業員が次の事由により休暇を申請した場合は、特別休暇を与える。
①本人が結婚したとき 5日
②妻が出産したとき 3日
③配偶者、子または父母が死亡したとき 3日
④兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母または兄弟姉妹が死亡したとき 2日
これでは、いつまで取得できるのか分かりませんし、日数を分割して取得できるのかどうかも分かりません。所定休日と重なった場合はどうするのでしょう。
与える日数については、本人にとっては多いに越したことはないでしょうが、本人が留守の間の他の職員の負担を考慮して、無理のない範囲で決めればよいと思います。
また弔いの休暇の場合、本人が喪主かどうかで日数を複数パターン設定してもよいかもしれません。
それから、適用する親族の範囲ははっきりさせておきたいですね。
例えば2親等以内の「親族」となると配偶者の兄弟なども入ることになり、特別休暇を与える範囲としてはやや広いような気がします。この場合は本人と配偶者とで区別した方がよいと思います。
それと、あまり見かけないことですが、「3親等」までは広げない方がよいです。叔父、叔母、甥、姪まで範囲に入れてしまうと、不審な欠勤につながります。
念のため、申請事由の事実を証明する書類を提出させることがあるという一文を規定に加えておくのも押さえとしてはよいかもしれません。