就業規則 重大な非行があったら
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
懲戒処分が厳しいものになるほど、その手続きには慎重さが求められます。
懲戒解雇事由に該当するような重大な非行等については、証拠隠滅や再発を防止するために一定期間の自宅待機を命じることがあります。
しかし、就業規則にこの「自宅待機」について規定している会社は少ないように思われます。
会社は、この期間中に非行の事実の確認など調査を進めます。
ここで注意しなければならないのは、懲戒解雇処分に関する調査のために自宅待機させた場合、この自宅待機が懲戒処分としての出勤停止に当たるとすれば、一つの事案について二重の懲戒(出勤停止と懲戒解雇)を課すことになり、その懲戒解雇が無効とされる可能性があることです。
そのため、調査のための自宅待機命令は懲戒処分ではないことを規定に明記しておき、この期間中については無給とせず、会社都合の休業として労働基準法上の休業手当を支払うことにしておきます。
それから、処分が懲戒解雇ともなれば、本人に弁明の機会を設ける必要がありますが、そのことについての規定もないところが多いようですから、きちんと書いておきましょう。
本人から事情を聴取するときには、あらかじめ本人に伝えた上で、録音や録画などの記録もとっておきます。
さらに、必要と判断した場合には警察などの関係機関に告発することも考えられます。
全ての調査が完了して懲戒解雇処分が相当だという結論が出たら、本人に対して「懲戒解雇通知書」を書面で発行します。
通知書には事実の概略、調査の内容、懲戒解雇とする日付を載せます。
退職金を減額にしたり不支給にしたりする場合には同意書も用意しておき、本人に署名捺印してもらいます。