労働時間 年次有給休暇の時間単位の付与
こんにちは。江東区のたつみ社会保険労務士事務所代表、水本です。
平成22年4月1日施行の改正労働基準法の3つ目のポイントは年次有給休暇の時間単位の付与です。
これまでの法令では、有休の取得は原則として1日単位で、半日単位でも問題はないということでしたが、時間単位では認められていませんでした。それができるようになったのです。
この規定を実際に導入するには労使協定を結ぶ必要があります。
労使協定で定めるのは次の項目です。
①対象労働者の範囲
全員で構いません。が、フレックスタイム制で働いている人や、自分の労働時間管理の裁量がある管理監督者にはなじまないでしょうね。一斉に流れ作業に入ってダーッと動かす工場の作業員なんかもなじまないでしょうね。
②時間単位有休の日数
5日以内で定めなければなりません。1日の所定労働時間が8時間の会社なら40時間分取得できる勘定です。
③時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数
言語明瞭意味不明なフレーズですが、例えば、1日の所定労働時間が7時間半だったら、「8時間」と書けということだそうです。
つまり、通常の1日単位の有休パターンで1日休みをとったら、時間でいうと7.5時間休む計算になりますが、時間単位の有休で勘定するときには0.5時間という半端はダメなので、「7.5」時間ではなくて「8」時間の有休取得で「1日」消化したことにしますよということです。
④1時間以外の時間を単位として時間単位有休を与えることとする場合には、その時間数
会社によっては、1時間単位で取得されては管理も大変だし計算も煩雑でやってられないから、2時間単位とか4時間単位で取得してしてくださいというルールにしてもいいよということです。
この規定の背景としては、月60時間を超える法定時間外労働に対する割増率5割のうちの2割5分に当たる賃金の支払いに代わる休暇との関係で、時間単位の有給休暇も必要になってきたということもあるのでしょう。
でも、重要なのはむしろ、子育てや介護のための時間が1日の生活時間の一定の割合を占めるようになってきているので、社員としての立場と一個人としての立場を細かく、はっきり区切ることができるようにしたということではないかと思います。
必要な時に必要な時間休めるように法的に保障してあげることが、ワークライフバランスを推進する力になるということでしょうね。